2011年1月20日木曜日

1月18日を振り返る

1/19、水曜日。

1/18開催・新春パネルディスカッション「就職『新』氷河期時代に『できること』『すべきこと』」アンケート集計ほか諸々。しつこいけど、私にとっても本当に皆様に対して「感謝です!」の場であったのだが、それはそれとして、あったことや思ったことをつらつらと。

●ライブの良さは出会いの創造

開始前や休憩中や終了後、本当に恐縮だが、たくさんの方がご挨拶に来てくださった(逆にご挨拶に伺えなかった皆さん、申し訳ありません)。出会いも再会もあった。出演者の皆さん同士だと、本田さんと常見さんが初対面だったのかな。やっぱりライブはいい。

・出身の横浜国立大学の大学院(工学研究院)の先生が「院生向けにセミナー企画できませんか?」とご挨拶に来てくれた。もちろんやります、母校。何だか出身校と深く関わっていけるというのはワクワクする。

・「私が学生で、伊藤さんが前の会社で働いているとき、大変お世話になりました。覚えていらっしゃらないかもしれませんが…」と来てくださったのは早稲田大学の職員の方。学内掲示で本セミナーを知り、参加してくれたとのこと。いや、それにしても本当に申し訳ない、覚えていなくて。5月から早稲田でも学生向けのシリーズセミナーを開催させて頂くので、どこかの機会にお酒でも…。

・同業他社の皆さん。うん、「こういう場であれば告知しますのでお声掛けください」ってお申し出、感謝だなぁ。そして翌日には複数の方からご連絡頂き、3社さんとお会いすることになった。

・twitter でのみ繋がっていた方々との初対面、前職時代のお客様との「あ!」という再会、お名前だけは存じていた大学職員の方やキャリアコンサルタントの方…

それにしても「twitter やブログと印象が違いました」と言われることが多かった。そういうものなのかな。

●各立場の皆様への思い

・企業経営者、採用担当者
「学生に求めるレベルが高すぎる」「即戦力を期待しすぎ」「要件がはっきりしないから学生が苦労する」等々、批判も一定数あるわけだけど、やっぱり「新卒採用を実施している」ことそのものを、皆、もっと評価する(敬意を払う)ほうがいいと思う。新卒採用のメリットって、社内活性化(新しい血の導入)とか、自社理念浸透とか、社員のマネジメント力強化とか、いろいろあるけれど、今の私の立場(10年7月に起業。資本金も社員もすべて自分のみ)からすると、人を採用(雇用)すること自体がすごいことだと思うのだ。最近、(将来的な)自社採用のことをぼんやり考えたりするわけだけど、人様の人生に多大な影響を及ぼす「新卒採用」、それは生半可な気持ちではできない。

・大学教職員
無責任な外野の声だけど、やっぱり「教育機関としての誇り」を失わないでほしい。もちろん「出口(進学や就職)のことを考慮しない」という意味ではなく、「これを学べば何が得られるのですか?」という学生の問いに真っ当に答えてほしくないというか。いや、批判されない温室で「驕り」体質になるっていう、そういう低レベルの話はおいておいて(そういう先生もまだ多数いるというのは問題だけど)、「教育」は、「教育を受ける人」に対する学びへの喜びスイッチを入れてあげることは大切だけれど、「契約」であってほしくない。いま、まさに学ばんとしている人が、学びの先にあることをその時点で知っていたら、それは、学びではなく、契約履行にすぎない、と思うのだ。契約の先に何がある?支払に対して得られる既知の自分の利益、それが得られなかった場合の相手(教育側)に対する不服申し立てや訴訟。契約だから「自分がどうであったか」を脇に置き「相手が自分の期待通りの利益をもたらしてくれたか」に目がいくことになる。それって教育?教育の先には、いつの日か先生が言っていた意味を理解して感謝する、というような長い時間軸での人生の深い喜びを見いだせる気がするのだ。

・就職情報会社
応援してます。これはもう、一人ひとりが一生懸命であることを知っているから、という感情の話だけど。何にせよ「伊藤程度が黙ってろ。うるさいバカ」くらいの心持で利益を生み出してほしい。ビジネス側の人間が「自分は意味あることをしている、利益はともかく」と思った瞬間、その会社は負けだと思う。それと、大手就職情報会社を中心に「就職情報会社悪玉論」が好きな人もいるけれど、自分たちが価値あることをやっていると誇りをもって言えるなら、そんな外野の声を無視して、戦うべき人や組織と戦い、顧客に価値提供し、利益を創出し、利益出してますけど何か?と言ってほしい。

●辻さん

セミナー終了後、ジョブウェブ佐藤さんや、グロウスアイ辻さんらと食事をしたのだけれど(本田さん、常見さんは仕事で参加できず。またの機会にお願いします)楽しかった。今の早大はバレーボール部が元気、と居酒屋の大将から教えてもらったりして。

辻さんとは帰る方向が一緒(自宅は駅で2駅隣)なので、二人で二次会へ。

くだらない話もしたけど、2時まで飲み続けながら、ペンとノートを使って持論を展開する辻さん、このエネルギーすごいなぁ。笑えるくらい。前にも書いた気がするけど、私が前職の入社当時から、何だかんだと悩んだりした時に相談に乗って頂いたりしていて、ずーっとお世話になりつづけている。おもしろかった。こういうすごい方と仕事後に飲めることを、仕事の喜びのひとつとして見出したりもしている。

あっという間に終わった1月18日。

多くの方からメールを頂き、なかには過剰な私への評価をしてくださる方もいるけれど、まぁ酔いながらブログを書いてしまうような人間です。ご勘弁を。

2011年1月19日水曜日

新春パネルディスカッション「就職『新』氷河期時代に私たちが『できること』『すべきこと』」

1/18、火曜日。

新春パネルディスカッション「就職『新』氷河期時代に私たちが『できること』『すべきこと』開催。

※マイク不具合がありました。34分50秒からご覧ください。また、最後の3分間が収録できておりません。ご了承ください。

※twitter「#s118」のまとめはこちらです。

●ご来場人数=125名
・企業経営者、採用担当者:53名
・就職支援会社社員:23名
・大学教職員:21名
・学生:9名
・キャリアコンサルタント:8名
・新聞社(記者):3名
・出版社:2名
・行政関係者:2名
・NPO法人等:4名

●ご来場者様アンケートより(N=57。一部)
Q「満足度」
平均4.4(5点満点)

Q「実践しようと思った『できること』『すべきこと』」

<学生>
・とにかく、be different でいきます。
・周りの人に「人生はもっと自由である」ことを伝える。
・今の出会いをアクションに、次の再会につなげること。

<大学教職員>
・大学と社会、社会と教育…そのミッションをどう提示していくのか。いつもおぼろげに感じていることをまずは形にして、学内外にあるいろいろな動きを橋渡しできるような仕事につなげていきたいと思います。
・目的や時期を明確にし、待ちの姿勢ではなく、外部(企業・学生)を巻き込んで行動に移すこと。
・大学というところは、タテ・ヨコのつながりが薄いので、もっと交流を増やそうと思う。もっともっと、学生の話を聞こうと思う。
・人が人を育てる事は、大学業界だから重要なこと。元気のよい大人である、といった、あたりまえのことをまず大切にしたい。

<採用担当者>
・まずはもっと大学に足を運んで現場を見る。
・あたり前の事をあたり前にやる。
・ベンダーコントロール。
・まずは身近な学生に、今日、聞いたことを話してあげたいです。
・採用担当である自分のレベルアップ。学生の本音を知るために、真の部分で向き合うこと。
・自分のビジョンを貫くこと。
・採用に求めるレベルの明確化。学生にリアルを提示する。とにかく行動する。
・選考時期、内容を見直す必要性があるように感じました。
・就活サイトに依存しない、採用活動を考えます。
・企業目線だけでない、学生、社会を考えた採用活動。
・サイトを使用しない新卒採用。本当に必要な情報を伝えているのか、棚卸する事。
・学生の動向調査を兼ねて母校に行こうと思います。会社の都合上、ターゲットではありませんが、学生の一助になればと思います。
・他社との違い、自社らしさをもっと極める事。求める人物像や採用戦略など、媒体の使い方ももっともっと考える事!
・私は技術部から総務部に異動し、採用を担当しています。本日参加し、「自分から話しに行く」ことが足りないと気付きました。出身大学への訪問等、行動しようと思います。
・自社の選考での問題を改めて見直したい。まずは学生ともっと多く接していきたい。
・学生さんと本音で話すことを忘れないようにしたいです。
・学生個人が尊重できるような、選考プロセス設計。
・学生に会いに行く。
・中小企業同盟。
・OBOG訪問の大切さを学生に伝えていきたい。

<就職採用支援会社社員、キャリアコンサルタントほか>
・今日のお話の内容を知り合いや仲間にシェアしたい。学生とも一緒に考えたい。
・活動時期が早いか遅いかという軸で、どうのこうの言うのはやめていこうと思った。
・問題の原因追求ではなく「どうすればよくなるか」に頭を使う。
・自分がビジネスの現場でできることに加えて、個人でできることを新しくやっていこうと思います。
・企業に新たな新卒採用のあり方のアプローチをしたいと思います。
・中小企業支援。
・自社、業界を少しずつ「うち」から変えていくこと。
・就職情報会社として(企業と学生の間に立つものとして)仲介する意味を明確にする。立場・スタンスを考える。利益を生みだす仕組みを作る事。
・日本の人材の価値を高め、日本の価値を高める。そんな就職支援のプラットホームの創出、強化、頑張ります。
・マッチングの仕組み、情報の取り方、引き出し方、具体的な基準作り(人物・能力)

・・・・・・

記載したのはごく一部ですが、率直な声、ありがとうございました(出演された皆さんとも共有しております)。また、アンケートにも多数「次回も企画してほしい」というご要望がありました。就職情報会社の方からも「このような場であれば、告知にも協力します」というお申し出もありました。感謝です。

・・・・・・

私は「就職・採用・キャリア領域に特化したファシリテーター」として仕事をしています。大学や、企業説明会で『「学生」と「仕事・企業・社会人」をつなぐ』ことを主におこなっています。

今回の企画を終え、自分が「できること」「すべきこと」を考えました。

「学生の就職・キャリアに携わる皆様同士をつなぐ」

形式は分かりませんが、この活動に取り組みます。

・・・・・・

貴重な時間を割いてご来場いただいた皆さんに感謝。
ご好意で会場を提供してくださった早稲田大学キャリアセンターさんに感謝。
運営スタッフの皆さん(特にボランティアで受付・準備に協力してくれた安田さん・野末さん)に感謝。
マイク不具合で Ustream で視聴できなかった前半から、twitter で 発言内容をどんどん書いてくださった(tsudaってくれた)皆さんに感謝。

辻太一朗さん、本田勝裕さん、佐藤孝治さん、常見陽平さんに感謝。

皆さん、本当にありがとうございます。

2011年1月18日火曜日

いよいよ明日

1/17、月曜日。

いよいよ明日である。

<就職・キャリア支援者向け>
新春パネルディスカッション「就職『新』氷河期時代に私たちが『できること』『すべきこと』」
⇒Webサイトはこちら

昨年の11月に浮上したこの企画。
こうして実現の日を迎えてみれば、あっという間の2カ月だった。

当日は、Ust で生中継する。
可能な限り、twitter で寄せられる質問・意見も取り上げながら進行したい。

Ust http://ustre.am/syxz
twitter ハッシュタグ #s118


これからの「より良い就職と採用の仕組み」づくりに向けて、一石を投じる意義ある場にしたい。

2011年1月17日月曜日

「お天道さま」は「世間さま」

1/14、金曜日。

ジョブウェブ・佐藤社長と打合せ。1月18日(火)パネルディスカッションセミナーの件。これで出演者の皆さん全員と、それぞれお会いして、当日の議題について話をしたわけだけど「就活の問題点と解決策」というよりも「学生の何をどのように鍛えるか(育てるか)」が主題になりそうかな。

その後、明治大学を訪問、提案。
普段お会いしている方だけでなく、学内行事の企画ご担当者さんも同席してくださって感謝。

そして、早稲田大学を訪問。
少し早めに着いたので、近くのマックに立ち寄ったら、試験勉強している早大生が多数。隣の2人組の男子が、法律の解釈について真面目に議論していた。何だか嬉しくなる。

早稲田大学では、1月18日(火)パネルディスカッションセミナーをウェブ・機材面でサポートしてくれているスタッフ2名に、PCの設定をして頂いたり、ウェブカメラのチェックをしたり。助かる。

その後、生協さんへご挨拶。
1月18日(火)パネルディスカッションセミナー出演者の皆さんの書籍を当日までに揃えて頂けるとのこと。感謝。そしてご担当の方と盛り上がり、立ち話で30分以上。学生に対して温かさと厳しさを両面お持ちの方で、おもしろかった。いつか、もしも本を出すことになったら、真っ先に挨拶に伺おう。

※ご来場される皆様:セミナー会場は14号館201教室ですが、徒歩3分のところにある、17号館地下1階の生協・書籍コーナーで、出演者の皆様の書籍を揃えております。セミナー開始前または終了後(生協は19時まで)ぜひお立ち寄りくださいませ。

夜、居酒屋で新年会。偶然、お隣の席が、前職時代にお世話になった皆様だった。
こういうことがあるから、悪いことはできない。「お天道さまに恥じない生き方」の「お天道さま」は「世間さま」だ。

1/15、土曜日。

夕方、某メーカーの人事課長と商談。
ふだんは東京にいらっしゃらない方で、この日は終日、東京本社で中途面接。お疲れのところ、お会いして頂いた。土曜日、面接もひと通り終わって、ふぅ、としたタイミングだったからか、何だか「余談」話で1時間ほど。んー、長いお付き合いになりそうな予感。

仕事をした日のビールは美味い。

2011年1月14日金曜日

「企業を含めた『外の世界』を知る機会はむしろ早期から整備していく必要がある」

1/13、木曜日。

千葉大学を訪問。

話題はやはり、日本経団連の方針とその影響について。日本経団連が「新卒採用広報は3年の12月以降」を加盟企業への方針として打ち出す一方で、日本学術会議は「早期化・長期化する現在の就職・採用活動の在り方は改善されるべきであるが、企業を含めた『外の世界』を知る機会はむしろ早期から整備していく必要がある」と提言している(平成22年7月22日「回答:大学教育の分野別質保証の在り方について」要旨ⅳより)。日本学術会議は元々、文科省からの依頼で、そうそうたる大学の理事長や学部長らが100名近くも委員として参加した諮問機関である。文科省は無碍にできまい。文科省も、経団連も、直接の知り合いがいないから内情は分からないけれど(学術会議は数名面識ある方がいる)、さて、どうなることかしら。

そもそも「大学生」の「就職活動・キャリア教育」をひと括りにして「方針」を誰かが打ちだし、皆がそれに沿って動くって、もう、時代遅れではないだろうか。学生自身が「仕事・企業・社会人」に興味を持ったタイミングで自ら動き、仕事や企業のことを知ることは「学業との相乗効果」を生むことはあっても「学業の妨げ」になるとは思えない。学生に対してやってはいけないのは、本人の「まだ見ぬ世界を知りたい!」という欲求を「君にはまだ早い」といって大人側が規制してしまうこと。そして、学生と仕事・企業・社会人との「出会い方」を単一化してしまうこと。一層固定化された「就活(シューカツ)」が出来上がってしまう。

ちなみに、昨年の『仕事研究セミナー』(社会人を学内に招き「仕事」についてパネルディスカッションしてもらう企画。立教大学、横浜国立大学で実施)に参加した1年生のアンケートには「一日一日を大事に生きて、自分をしっかり築いて、2年、3年後にある就職活動につなげたい」「就職にはまだ関係があまりないけれど“熱い思い”を持ち、“目的”を見失わず、“自分から”考え、行動に移すことが大切だということが分かりました」そういう声が多い。学生が早いうちに社会人の声、仕事の具体的な内容を聞くことは、本人を「就職活動」へ向かわせるのではなく、「充実(目的意識と行動)した学生生活」への動機づけとなる。

午後、人材コンサルタント・作家の常見陽平さんと打合せ。いよいよ開催まで1週間をきった、1月18日(火)のパネルディスカッションセミナーについて。知識量、愛、プロ意識、学ぶことがたくさんある。さすがだなぁ。それにしても当日が楽しみで仕方ない。

そうそう、このセミナー、「就活支援者・キャリア支援者向け」としているが、もちろん、学生の方の参加も歓迎である。既に数名の方から申込もある。ご興味があればどなたでも。

※メール転送など、本セミナーの告知を善意でしてくださっている皆様、本当にありがとうございます。

企業経営者、採用担当者、大学職員、大学教員、就職情報会社の社員、キャリアコンサルタント、人材育成系のNPOの方、行政関係者、メディアの出版部の方、学生など、本当に多様な立ち位置の方々からお申込をいただいている。これほど多様な、そして日々学生と向き合っている人たちが一堂に会することはそうそうないと思うので、ぜひ、来場者の方々の声も聞きながら、参加型の場にもしたい(2部は来場者の皆様から頂いた質問を元にしたフリートーク)。私が就職支援・採用支援の仕事を始めて「うわ、すごく本質をついたレポートだなあ」と最初に思ったこの業界の大御所の方も、当日、来場者として参加されるのだ。

夜「明日、急きょ東京出張。新年会やりませんか?」というお誘い。
もちろん参加予定。

2011年1月13日木曜日

「やりたいこと」と「自分の軸」

1/12、水曜日。

某社の社長と顔合せ。

説明会にファシリテーターとして参画し、社員インタビューを行う企業である。説明会には社長ももちろん登場するのだが、採用担当者さんが気を遣い、今日の場を設けてくださった。

短い時間だっだけど、貴重な時間だったな。
一代で40年近くかけて、数百名の会社にまで成長させた創業社長らしい自由な感じ?偉そうに振る舞うわけでもなくフラットなんだけど、雰囲気や顔から、圧倒的な経験値の差(修羅場の数?)が感じられて。会話で笑いを取れて良かった。いや、別に笑わせに行っているわけではないんだけど。

午後は大学向けの提案書づくり。
業種でも企業でもなく「仕事」を知るためのセミナー(学年不問)を今年は複数の学校で実施するのだ。我ながら「うん、いい感じ」と思える内容に仕上がった。学生メリットと、大学メリットと、企業メリットと、私の思い(やりたいこと)が重なっている、もっとも展開したい企画。

『就活エリートの迷走』(豊田義博氏・ちくま新書)を夢中になって読む。赤線引きまくり。

大学生の就職活動に携わって9年になる。
常々もやもやしていた「やりたいこと」「自分の軸」に関して、なるほど、と思う視点だらけなのだ。

思い起こせば(本書でも指摘されている通り)「やりたいこと」を企業が一斉に聞くようになったのは、2004年頃からだと思う。キャリアビジョン、とかね。

で、私自身は(就活という文脈のなかで使われる)「やりたいこと」なんて学生の頃になかったし、自分の軸なるものもよく分からなかった。仕事をしてから「やりたいこと」「自分の軸」がおぼろげに見えてきた。

時代が違う(私は02年就職)のは分かる。でも、人間、「やりたいこと」「自分の軸」なんてそんなに短期間で、しかも働いたことがない段階で、分かるものなのだろうか。と思っていた。けれど、学生と話したり飲んだりしていると、確かに「やりたいこと」「自分の軸」を“堂々と”話している学生のほうが、志望企業(主に大手や人気企業)に入っていくな、という実感もあった。だから「自分の軸をしっかりもちましょう」とアドバイスする就職支援者側や、採用担当者のメッセージに実は違和感をもちつつも、「短期間でやりたいことや自分の軸なるものを見つける(あるいは、見つけたように自分自身をも納得させる)」ことの負の面を何か言えるわけではなかった。

「やりたいこと」「自分の軸」を見つけ、「就活」という固定化された“ゲーム”をわりと余裕で乗り切り、志望する企業へと入社していった「就活エリート」のその後と、「就活」が彼ら彼女らに及ぼした根深い問題、構造についての問題提起と、就活改革への提言の書である。

「やりたいことやキャリアを考えるのは良い。でも『ある程度考える』で十分じゃない?だって、99% 人生も仕事もそんな風には回っていかないから。就職して『あの頃の未来に僕は立っているか』って自問し、どうしようもない不安に襲われた時、その時に支えとなる、友人や恋人、先生、学問、モノの考え方や世界の見方、心の強さとしなやかさ、そういうものを学生時代に身につけた方がいいよ」

そんなことを学生には伝えたい。

2011年1月12日水曜日

採用広報活動を遅らせたその先に

1/11、火曜日。

日本経団連が、13年度新卒採用(今の学部2年生ら対象)から、企業の新卒採用に関する広報活動を「3年生の12月以降」とする指針を決定予定、と報じられた。⇒記事

「就職活動の早期化による学業への阻害をなくす」ことがその主たる狙いとされている(就活の早期化・長期化問題はここが論点にされる)。

研究で忙しい理工系や、留学生など、同じ「大学生」でも状況は様々で「時期はこうすべきだ」と一概には言えない。ただ「文系の学部生」に関してこの指針を考えると、うーん、というのが正直な感想かな。

もちろん、メリット・デメリットがあって、比較して「総合的にメリットの方が大きい」と判断し、もちろんそれは「学生にとってのメリット」で考えたうえでの指針であることを信じたいわけだけど、いずれにせよ、就活問題を考える際に「広報や選考の時期」は現象のひとつで、それを変更させることによる他への影響(たとえば「就業意識・意欲」「仕事への理解」「社会人基礎力や就業力の育成」など)がどの程度、考えられているのか、詳細を知りたい。

ざっと思いつくままに書くと

・学生は「仕事」のこと(具体的な日々の職務の内容)を知らない(文系学生と接している私の実感)。そして多くの学生は、企業の採用広報活動を通して「企業」のこと、「仕事」「働くこと」を理解していく。採用広報で得られる「仕事理解」の面をどのように仕組みとして吸収するのか。できないなら、今まで以上に「面接ノウハウ」に頼った「騙し合い」「茶番」面接が増えはしまいか。
・この後「採用広報とは何を指すのか」が議題になり(たとえば、スーツなどの就活関連商品の宣伝は、採用コンサルの提案書的に書けば「就職先としての自社認知向上」になって採用広報費からお金が出る可能性もあるけど、それが「採用広報か」と言われたら「そうではありません」って企業側は言うだろうし)一定の「この活動は採用広報」と決められたりすると、今まで以上に「学生」と「仕事・企業・社会人」との出会い方が狭まってしまうのではないか
・企業も学生も「正直者が馬鹿をみる」という就職協定時代の状況に回帰してしまうのではないか

そんなところだろうか。

実例。

2010年10月~12月に、立教大学で「仕事研究セミナー」を開催した。「企画職の頭の中」「営業職の意気と苦悩」「SE職のウワサとキャリア」など、各回「仕事」に関するテーマを設定し(「知られざるNo1企業の仕事」「面接官の本音」など違う切り口も実施)、4社にお越し頂き、私がファシリテーターとして、その仕事についてインタビューするという企画。企業PRは採用担当者に冒頭に3分間だけしてもらい、メインは、その仕事に就いている方々からの「仕事に関する本音トーク」である。

開催時間は、18:30~20:00。授業時間を避けている。

対象学年は不問。「仕事・企業・社会人」に興味を持ったタイミングで参加してくれればよい。実際、見学に来られた一部の教員(先生)が「社会人の本音を知る良い機会」と考えてくださり、1年生向けの授業で「早いうちにあのような場で仕事のことを知っておくとよい」と進めてくださり、1年生の参加も多かった。

参加学生数は、延べ1,542名(うち、1年生は181名)。
無記名式アンケート(回収率91.4%)で、5段階評価の学生満足度は4.5。
選択式回答の上位3項目は「就職活動に関する気づきや学びがあった:75.5%」「仕事内容(職種)理解・仕事のイメージギャップ解消に役立った:61.6%」「就職活動への意欲があがった:60.4%」
同じく選択式で「次年度も是非実施した方が良い」「実施した方が良い」は合わせて99.8%。

ちょうど今日、立教大学さんとこの企画の振り返りと今後を話していたのだが(詳細は書けないけど)「仕事のこと、社会人の本音を知る機会は早い方が良い」と改めて思った。

さらに言えば、某大学とも「複数社の社会人を招き(私がファシリテーターとして入り)仕事のことを知ってもらう(対象学年不問)」シリーズ企画を「5月~7月」に開催することも決まっている。お問合せいただき、本企画を提案予定の大学も、アポ日程が決まっているだけでも2校ある。

さて、一連のこの企画、企業側は「採用広報」として位置付けているはずである。
同時に、冒頭の企業PR以外の時間については、皆さん真摯に、学生のことを考えて「厳しさ」含めて本音を話してくださる。

上っ面の良い話だけしても、採用効果として意味がないことを知っている。加えて、学生を応援したいと多くの大人が思っている。ゆえに、一生懸命、仕事のこと、働くことについて、話をしてくれる。

経団連加盟企業らが「採用広報を遅らせる」という「指針」が足かせになり、このような場に出づらくなってしまうことを心配している。

※「キャリアプログラム」として、複数大学で本年度も本企画は実施します。あくまで心配しているのは「経団連加盟企業の参加」であり、本企画そのものの位置づけは、大学側とは合意済です。