2010年11月30日火曜日

科学的管理手法への逆戻り

11/29、月曜日。

午後、明治大学・駿河台キャンパスを訪問。少し早めに着いたので、ロビーで時間を潰していたら、守衛さんに大きな声で挨拶していった人がいた。うん、そうだ。学生にどうこう言う前に、自分がそういう「相手も自分も気持ちいいこと」をきちんとやろう。

数日前から読んでいる『戦略人事論』を読み進める。

戦後、日本が採用した人材マネジメントは、ハイコミットメント・モデル(人間重視=ソフトバージョンの戦略人事)。「社員のモチベーションとコミットメントを高めることで、組織パフォーマンスが向上する」という考え方。それを機能させるために必要なことは

1)組織と社員の良好な関係
2)外的満足
3)自由裁量

従って

A)高い雇用保証
B)社員同士の密コミュニケーション
C)高い教育投資
D)業績連動報酬(主に賞与)

が目的化する。日本はそうして、フォードに代表された科学的管理手法(職務の細分化と専門家、計画者と実行者の分離)に勝つ組織パフォーマンスを発揮し、80年代に「ジャパンアズNo1」と言われるまで上り詰めたのだ。

科学的管理手法は「社員はコスト」と位置付けた。
ハイコミットメント・モデルは「社員こそ競争力の源泉」と位置付けた。
この違いは決定的だったはずだ。

ふと、一部上場メーカーの人事担当者の言葉を思い出した。「入社してすぐに人事配属になって、最初に叩き込まれた考え方は『人事部のミッションは労務費の極小化』ということです」。

市場での激しい競争にさらされ、利益が出せず、雇用保障も規制でがんじがらめ。そんな日本は今、「社員はコスト」と位置付け、負けていった、過去の科学的管理手法に逆戻りしそうになっていないか。そんなことを不安に思った夜。

2010年11月29日月曜日

11/26夜~11/28 30歳の花嫁

11/26、金曜日。

仕事を早めに切り上げ、宇都宮へ。東京から新幹線に乗ろうと思っていたが、武蔵小杉から一本で行ける宇都宮線で行くことにした。乗り換えを考えるとかかる時間はほぼ変わらないし、グリーン席もたった950円で静か。お得。

土曜日に、大学時代の女友だちの結婚式が仙台で開かれる。

ということを知った、宇都宮に単身赴任・仙台自宅の知り合いから「俺、金曜夜に帰るから、宇都宮から一緒に車のってく?」とお誘いいただいたのだ。感謝。ふだんは酒ばっかり飲んでるが、2時間半の酒なしドライブ(って当たり前か)いろんな話ができて良かった。

「今晩どうすんの?一人で飯食うんだったら、うち寄ってけよ」

奥様の手料理とビールとウィスキー。

あー、ホッとするなぁ。

そういえば、ドラマ『官僚たちの夏』で、自宅に仕事メンバーが普通に出入りする様子が描かれていたが、こういう文化って今も結構あるのかな。私は年に1,2回、仕事関係者の家に泊まったり、泊めたりしている。酔って「うち来いよ!」と言われて突然行って、旦那ともども奥様に叱られたこともある。新しい下着が朝、用意されていたこともある。自宅に泊まると、なんだか「一線を越えた」関係になれる気がする。

「いいから泊まってけよ」と言われるが、今回はご遠慮して仙台駅へ戻る。国分町ではなく、ホテル側の東口のバーへ。

店長が若くてイケメンだった。女性客が多いのも頷ける。

「実は僕、今、大学休学してこのお店で働いてるんですよ」
「へー。学校どこ?」
「東北大です」

彼は「とりあえず今興味があることをやってみて」自分の人生をどうしていくのか、模索していた。「オーナーには言えないですけど、まだこの道で食べていくのか決めかねています」。いい青年だったな。また仙台に行ったら、彼に会いに行こう。

どうして君はそんなに都合がいいところにあるのかね、と声に出したいくらいナイスポジションにアイリッシュパブがあり、さらに寄ってしまう。こちらはスウェーデン人の店員さん。スウェーデンのこといろいろ教えてもらう。「うー、むこうの女性はね、うー、自己主張が強いんです。うー、だからね、うー、日本人と結婚しました。うー、でも日本人も、うー、結婚すると、うー、強いですね」ってのには笑ったな。

11/27、土曜日。

大学時代の女友だちの結婚式。

ダンナさんが素敵な人で良かった。
大学時代の痛い恋愛経験を知っていると、そういうことをしみじみ思う。あのダメ男との諸々は、こんな素敵なダンナさんと巡り合うための試練だったんだね。

ダンナさん、転勤が多い会社らしいのだが、転勤になったら彼女はついていくのだろうか。大学時代にダブルスクールして、卒業後、仙台でトリマーになった彼女は、そのとき、どうするのだろうか。

そういえば大学時代の女友だちはみんな、子どもいるんだな。
3人中、2人が子どもを連れてきていた。同じ学校に通い、バカ話をし、酒を飲み、就職して、それぞれの人生を歩んでいる。「なんかさー、私たち主婦もさー、年に1,2回はパーっとしたいわけよ。大学のみんなで定期的に集まらない?」そんな話になる。うん、こいつらとは一生付き合っていくんだろう。

2次会、3次会と順調にこなし(?)、最後はホテルで部屋飲み。
数年ぶりに古今東西ゲーム。2010年、30歳で古今東西ゲームって。ま、おもしろかったけど。気づいたら、初めて会った人も部屋にいたな。さらに気づいたら朝で、一人だったんだな。

あすか。
幸せになりますように。

2010年11月28日日曜日

大学づいている

11/26、金曜日。

某大学への提案書作成。主に低学年を対象とした、次年度のキャリアサポートセミナー。夏に提案し、一度ボツになった話なのだが「改めて提案してほしい」と言っていただいたのだ。

ゴールは「学生が『意思決定を積極的に積み重ねることで、充実した“自分づくり”の学生生活を送っていこう!』と思うこと」。

そのために必要な

・進路≒生き方の選択肢は多数あることの提示
・就職ばかりに目を向けて学生生活を送らなくてもいいんだ、という安心感の提供
・行動すること、体験すること、の重要性実感

をインタビューで生み出す。起業家、キャリア支援者、研究者、士業、NPO理事、会社員、多様な人たちに公開インタビューするシリーズ企画なのだ。うーん、実現させたいなぁ。ワクワクするなぁ。企画が通れば、4~6月は主にこの仕事になるんだなぁ(通らなかったら何をしているのだろう?)。

その後、大学キャリアセンターや先生にアポ取り。残念ながら、新たにアプローチしたかった大学からはアポもらえず。うん、早く先方から連絡がくるような存在になるしかない。

夕方、また別の大学から、グループディスカッションに関するセミナー依頼をいただく。感謝。こちらも私の講演ではなく、人事担当者を巻き込んだファシリテーション企画。いい流れがきている気がする。こういう時こそ、驕らず、足元を見て仕事をしよう。

早めに仕事を切り上げて、いざ仙台へ。

2010年11月25日木曜日

学生からの取材

11/25、木曜日。

お昼、早稲田大学より携帯に嬉しい連絡。
年明け、大学職員・教員、就職情報会社、採用担当者、メディア関係者など「新卒就職問題」に関わる方々向けにセミナーを開催予定なのだが(11月末までに正式リリース予定)、思いと狙いを伝えたところ、大学を会場として使わせていただけるとのこと。感謝。

御厚意で協力してくださる方々が多数。

成功させる。

午後、日本経済新聞社へ訪問。タイアップ企画に関して、2時間ブレスト。
打合せ最中に、社内メンバー同士が議論するあの感じ、私は好きだな。

夕方、学生3名からの取材。
ふだんは仕事柄、人の話を聞き出すわけだけど、たまにこうして自分が取材されると「へぇ。そんな風に自分では思ってたんだ」と整理できて良い時間になる。

・学生時代、企業から求められる「優秀人材」では決してなかった(社会人不適合系)
・暗い大学生だった。部活サークルには入らず、図書館にこもって学生運動のことを調べたりしていた。「たかだか3,40年前、自分と同じ歳だった彼らは、命を懸けてまで何をしたかったのか」が知りたかった。経済学部の運動家にスカウトされた(入っていない。危なかった)。
・女の子を口説くことに必死にもなったが、もてなかった。
・大人の話を斜に構えて聞いていた。キレイごと言う大人に対して、腹の底では「どうせ仕事だから聞こえのいいこと言ってるんだろ」と思っていた。
・就職イベントで、お目当ての企業に人が群がっていた。ふと隣に、一人きりでポツンと佇むおじさんがいて、いたたまれず「お話聞かせてください」と話を聞きに行った。会社PRではなく、社会人としてアドバイスをしてくれた。「いいビジネスマンになりたければ、ぜったい営業は経験しなさい」と言われた。
・大企業でもベンチャーでも何業界でも良かったが、だから、営業をやってみたかった。向いてるとは思わなかったし、友人からも「え、お前が営業なんてできるわけないじゃん」と言われた。
・営業マンとしては優秀ではなかった。平凡だった。
・「実力つけて3年で辞めて独立する」と思っていたが、社会は甘くなかった。自分のできなさを知り、愕然とした。
・小さい会社の良さは、苦しみも、喜びも、みんなで分かち合えること。一緒に泣ける。
・人生で大切にしている価値観は「おもしろさ」
・仕事は人との出会い、仕事との出会い、しんどさや苦しみ、日々いろいろある。だから仕事はおもしろい。
・大企業に入って「これで安泰」と思ってしまうのが一番のリスク。
・学生時代から「いつか起業したい」と思っていた。タイミングがきた。
・一人で仕事をすることの良さは、意思決定の早さと、自分の価値がストレートに理解できること。会社員をしていると「伊藤さんのおかげで」と仮に言われても、本当は会社の看板のおかげじゃないかとか、社長のおかげじゃないかとか、どうしても拭いきれない。
・会社員時代と今を比較したりはしない。終わったキャリアを振り返っても何も生まれない。
・成功するビジネスを生み出せるか、ではなく、思いを込めて立ち上げたビジネスを成功させる。諦めない。志ってそういうものかもしれない。
・日本の新卒就職の「ルーザーズゲーム」を変えたい。誰も得をしていない。
・キーになるのは「大学」。大学が本来あるべきの「オープンな場」になっていき、社会人と学生が当たり前のようにコミュニケーションがとれていて、学生が「仕事」を意識したときに社会人と話ができる。そんな「学生」と「仕事・企業・社会人」との接続のあり方を目指している。
・無理にいま「理想の生き方」から逆算して会社選び、仕事選び、自分の軸、を必要以上に考えることはない。
・恋愛したことない人が、理想の結婚生活を考えて、恋人選びに条件をたくさんつけている、というのと同じように感じてしまう。
・企業も仕事も、極端に言えばどこでも大差ない。大切なのは、縁あって一緒に働くことになった目の前のメンバーと、目の前の仕事を一生懸命やること。必死にやっているうちに次が開ける。振り返ると自分史ができている。それがキャリア。
・仕事をしてから私は「理想の生き方」を考え、仕事をしてから「やりたい仕事」が見つかった。
・直観を大切に。20年の歴史があっての直観だから、直観は侮れない。
・ご縁を大切に。

そんな話をする。

がんばって自分の人生を自分で切り拓いていってほしい。

「それが正解か分からない」と言い合えるか

11/24、水曜日。

午前中『戦略人事論』(須田敏子著/日本経済新聞社)読み込み。新卒就活問題に取り組むにあたり、私に足りないのは、大所高所の視点。資本主義と経済システムと経営戦略と人材マネジメントシステムの理解。だからまずは人材マネジメントシステムをアカデミックに理解するために……と思って購入したものの、まえがきと序章と1章を理解するのに3時間かかる。「企業の人材マネジメントに影響を与える同質性圧力・異質性圧力からみた包括的戦略人事フレームワーク」(まえがきより抜粋)を提案している本なのだ。…うん、負けないぞ。

「ある組み合わせがナッシュ均衡になっているときには、各プレーヤーの選択した戦略が他者の戦略に対する最適な反応となっており、各プレーヤーはそれぞれの利益を最大化しているため、誰もその状態から逸脱する誘因を持たない(略)いったんナッシュ均衡が成り立つと、その均衡状態は必ずしも効率的であるとは限らないものの、制度として定着し、安定しやすい(略)それぞれの国は特定の経済制度を持つため、ひとつの国の中では企業や個人の戦略や行動が類似する」(P73より)

新卒就職採用の学生と企業もこれに当てはまるんだろうな。学問的に言えば。

午後、お問い合わせいただいた企業の採用リーダーへ訪問。200名採用。早くも説明会兼一次選考が始まっていた。何かしらか仕事で関われるといいな。

夕方、早稲田大学へ訪問。着々と今後の諸々について進める。いい流れがきている予感。

夜、先週金曜も一緒だった、Aさんと飲む。

現在、宇都宮に単身赴任中なのだが、今日は東京出張とのことで、新幹線の終電まであれやこれや。子育てに関する深刻なトラブルがあり、ひと通り話を聞くも、Aさんのとった行動が正解なのか分からない。本人もまだ消化しきれていない。大人としての振る舞いは「正しいですよ!」なのだろうけど、友人としては「分からない」としか言ってあげられない。いつかうちにも子どもができて、トラブルがあり、私が行動し、でも自分でその行動が正しかったか不安で仕方がないとき、Aさんは同じように「俺も分からない」と言ってくれるのだろうか。

悶々として、地元のバーへ。

フリーのTVディレクターと久しぶりに遭遇。マスター含めて独立組3人で、妻に仕事の話をどこまでするのかで盛り上がる。お二人は「家に一定額を毎月入れて、仕事の話は一切しない」だった。私と違うんだな。

深夜帰宅。

2010年11月23日火曜日

東京大学シンポジウムで改めて考えた、新卒就職問題

11/22、月曜日。

東京大学で行われたシンポジウムに参加。

テーマ「大学教育と職業との接続を考える ~第1回『大学生の就職をめぐる諸問題と当面の打開策』」(主催/日本学術会議、朝日新聞社、東京大学)

南北線「東大前」駅で降りたのだが、安田講堂まで結構、距離があったなぁ。途中でふと不安になって、通りすがりの学生に道を尋ねたら、懇切丁寧に教えてくれた。東大生の印象アップ。そういうもんよね、単純だけど。

開始前に、普段からお世話になっている大学関係者に遭遇。終了後にも別の大学関係者と遭遇。3~400名くらいの入りだった気がするけど、大学関係者が多かったのかな。

プログラムは

・日本学術会議・上智学院理事長、高祖氏の基調講演
・経済評論家、勝間氏の講演
・内閣総理大臣補佐官、寺田氏の講演
・パネルディスカッション

計4時間の長丁場だったが、あっという間だった。

初めて「ナマ勝間さん」を見たのだが、美人オーラが出ていて素敵だった。と twitter でも書いたらすぐにご本人から返信。マメな人なんだな。好感。こんど本読んでみよう。

内容に関しては、勝間さんの歯切れがよく、現場感も理解していて、提言も膝を打つもので、勉強になった。「新卒一括採用から離れることは、ハイリスク・ローリターン」「新卒一括採用は、ローリスク・ミドルリターン」「(人事担当者の本音)企業風土を乱す人は入って欲しくない」「リスクはあっても、学生・人事担当者ともにレールから外れてみる」「どちらもインターンや通年採用を進める」「海外で学ぶのがオプションとして手っ取り早い」「人材にノウハウを貯めることにより、企業が差別化することと合致する」(すべて配布資料より)

シンポジウムを通して、改めて自分が考える「新卒就職」の課題を整理してみた。

1)ムダ活(企業・学生とも「ムダ」な活動をせざるを得ない)

特に学歴問題。企業は、本当は「MARCH以上」などの“実質的な”学歴基準があっても、公表できない。ステークホルダー(特に顧客)への影響を考えるから。営業マンが営業先に「オタクって、早慶ばっかりなんでしょ?」なんて嫌味を言われたら、たまらない。従って「大企業・人気企業への応募集中」により、ムダな活動がお互いに発生する。通るはずがないエントリーシートを学生が必死に徹夜で書く現状は変えなければならない。一方、「実質的な学歴基準はあれど、本当に優秀な人材なら、採用しないこともない」という企業の現実もある。

⇒提案
A)実質的な共通一次(選考)の実施→GPAの普及と連動
B)学生が客観的に自分の立ち位置(レベル)を理解する機会を増やす(セルフスクリーニング)→インターンの拡大
C)企業の「求める人材像」の階層別明示→「主体性」「コミュニケーション能力」の禁止(共通して求められる力はキャリア教育で伝えきる)

2)学生の志向と能力

連綿と続いてきた日本の人材マネジメントと、それによって受けられてきた恩恵を考えれば「大企業に正社員として就職することが、安泰人生キップ」であると学生が思い、大企業に集中する気持ちは理解できる。けれど、それは高度成長を続けた日本の過去の話。安泰を求めて入社希望する人材を企業は必要としていないし(もしろすごいリスク)、正社員解雇(の法制の見直し)も直にやってくると私は思っている。同時に、就職採用もグローバル化が進み続けるなかで「中国人のほうが能力もモチベーションも日本人学生の比じゃない」と多くの採用担当者が思っている。グローバルにまで話をひろげずとも「厳選採用」で「予定数未達」のまま採用を終える企業が多いことを考えれば「企業が求めるレベルの学生がいない」ことは、現実として見なければならない。

⇒提案
D)「仕事(職種)」を知る・学ぶ機会の増加(「仕事(職種)」軸による中小企業への入社意欲の動機づけ)→大学内セミナー、インターンシップ、行政予算付けのWEB
E)自分の志向と能力を知るための、高校~大学期間における短期留学の促進(あるいは予算付けて義務化)

3)ルーザーズゲーム(就活関係者が誰も得をしない構造問題)

今回のシンポジウムでも感じたことだが、アカデミックキャリアの方々と、企業の方々では、会話がかみ合わないことが多い。ここに就職情報会社が絡んでくれば、なおさらだろう。私は企業出身なので、企業の方々の言い分に「そりゃそうだ」と思うことが多かったが、アカデミックの方々は、本当にうまく理解できないのだと思う。けれど、就職問題に関して真剣に取り組んでいる人たちは、会えば、皆、いい人で、状況を改善したいと心から思っている。

⇒提案
F)今回のような、影響力あるシンポジウムの開催(対話と議論)
G)大学、企業、就職採用支援ビジネス関係者、らの先進的取り組みの共有

・・・・・・・

日本特有の「新卒」就職・採用を語るには、経済全体の潮流と、企業の経営戦略の変化、伴って引き起こされる人材マネジメントの変容まで押さえておかないと、本質にまでは辿りつけないとも改めて思った。

単純な話だが、大企業が変わればかなりのことが変わる。

その大企業には、これまでの人材マネジメントによる、「正社員一人ひとりの雇用を守る」重責がある。でも近い将来、人材マネジメントに痛みを伴う「決断」をし、変えなければ企業として立ちいかなくなる日がくる。

私はまずは、大学と組み、企業と組み、「仕事(職種)」を学生が理解するためのファシリテーションを実施していこう。

2010年11月22日月曜日

社会人になってからの友だち

11/19、金曜日。

「学生向け社会人力養成ゼミ」の企画を悶々と考えるがまとまらず。しっくりこない。

起業前には

1)学内キャリアガイダンスの企画ファシリテーション
2)企業説明会(セミナー)企画ファシリテーション
3)就職採用支援、社会人基礎力向上に関する各種事業
4)学生向け社会人力養成ゼミ

の4つを柱としていく旨を事業企画書にまとめた。

1)に関しては、母校の横浜国立大学や、立教大学で実施中。追加で他の大学からもご依頼を頂けそうだし、「次年度、前向きに検討します」という大学も複数できた。
2)に関しては、2社・計28回の会社説明会にファシリテーターとして関わることが決まっている。
3)に関しては、某社の就職イベント(合同企業説明会)の司会を務めさせていただいている。
4)だけが、まったく動いていないのだ。

前職、いわゆる就職情報会社員時代に、学生向け就職支援の企画・実施(セミナーや個別相談)していて感じていたことは、行動・成果まで変化をもたらすことの難しさだった。

「学生がすごく理解してくれた!」と思って(運営者側は気持ち良くなったとして)も、行動にうつされ、習慣化され、成果をあげるところまでいく学生は、残念ながら少ない。

それは、セミナーというある種、非日常における「一瞬」の限界だと思うのだ。

学生は多くの時間を、学校で過ごし、アルバイトをし、サークルや部活に行く。
師と呼べる先生に出会ったり、「自分で考える」ことを時間をかけて習得したり、社員の仕事に対する責任感と充実感を知ったり、仲間と分かり合えることの難しさを実感したりしながら、成長する。恋もする。そういう日常があるなかで「就活」としての「一瞬」のセミナーは、ともすると、「ためになった」「おもしろかった」という“感想”で終わってしまう。それが、就活と就職後の社会人生活にも役立つ、本当の意味の「力」にまで結びつくことをやりたくて、切り口は「学生の成長を応援する大人を巻き込んだ」「ゼミ」だったのだ。が、まとまらない。「内定を売りにした塾から始めてもいいんじゃない?」と妥協しそうになるが、コンセプトがずれたまま走り始めた企画が、いい地点に落ち着いたことがない。

悶々としたまま、留保。日にちを変え、場所を変え、使うフレームを変え、また週明けに考えてみよう。

夜は、結婚祝い飲み会。

社会人3年目くらいのときに立ち上げた、異業種交流会(?)のメンバーの一人が再婚することになり、そのお祝いだったのだ。

私がほぼ毎日飲み会、という日々のなかで「朝まで2人で語り明かしたい、という30代だけを集めた飲み会」を企画し、以来、ずっと定期的に飲んでいる。全員年上。全員、顧客やパートナーなど仕事関係者からの関係スタート。いつの間にか、10名くらいが固定メンバーになった。毎年、春には泊まりの温泉旅行に行く。毎年、忘年会は歌舞伎町のスナックで朝まで歌い尽くす。「飲んでるだけじゃバカみたい」ということで、隔月で勉強会も行うようになった。私の結婚式のとき、「友人」として招待させて頂き、皆さんが金八先生の出し物までしてくれた。転職した人もいる。起業した人もいる。よく叱られもした。40代が増え「内部統制室室長」とか「選抜研修担当者」とか、要職にもどんどん就いている。そんなメンバーの一人の、再婚祝い。一生付き合っていく「友だち」の祝いごと。心から祝福。

飲んだなぁ。どうして2次会で切り上げられないんだろうなぁ。
気づくと、銀座で唯一、一人で定期的にお邪魔するバーで、知らない人たちと盛り上がっていた。夜が明けていた。

2010年11月19日金曜日

ぶどう酒

11/18、木曜日。

移動中に『大学破綻-合併、身売り、倒産の内幕』(諸星裕著・角川oneテーマ21)を読む。研究機関としての大学から、多くの大学は現状に即した、教育機関としての大学へ、という論に賛成。講義がつまらない先生(教員)って、「教える」ことを「習って」いないから、という理由も大きいだろうけど「自分のミッションは研究である!」と心底思っているからなんだろう。そうではない先生たちと最近お会いしているからこそ歯がゆい。

GPA、学部横断履修、教授会、職員のプロ化……新卒就職問題における、構造上の「正のスパイラル」転換の起点は「企業」だと考えているが、大学経営が変わると、自然と日本における新卒就職採用のあり方も変わってくるのだろうな。

いずれにせよ「採用選考では測りづらい、長期的なモチベーションや嗜好・志向・能力」を先生方が把握していて、企業(採用担当者)とも密につながっている、という状態をつくれれば、ミスマッチ減に貢献すると思う。その動きも出始めている気配があるし、全体的に「企業-ナビ-学生」から「企業-大学-学生」にシフト(回帰)し始めている今、「企業-ゼミ-学生」にさらにシフトする予感。

なんてことを考えていたら、あっという間に新座着。立教大学『仕事研究セミナー ~知られざるNo1企業の仕事~』新座キャンパス回。

学生アンケートは、満足度も高いし(計6回・延べ1,000名超の参加学生で、無記名式アンケートの満足度「不満」「たいへん不満」は0)自由記述を読んでも、視野拡大、仕事理解、就活へのモチベーションアップなどに貢献していることが分かって嬉しいのだが、どうして前から座らないんだろう。あくまで就活は「自分ごと」。損するよ。(池袋キャンパスはビシッと前から詰めて座る)

ボジョレー買って帰り、自宅で飲む。

そう言えばもう5年以上前、メルシャンのワイナリーへお泊りツアーに行った際(メルシャンの方に連れていって頂いた)、夜、ご好意で顔を出してくださった工場長が「昔はね、ぶどう酒って言って、このあたりでは食卓に普通に出ていて、みんなで楽しく飲むお酒だったんですよ。かっこつけて飲むんじゃなくて」と温かい目で話していた。それ以来、ワインも結構飲むようになったんだ。

次の日、朝5時から夜8時まで飲み続けた。宿泊先→ワイナリー→貸切バス→品川駅近辺の芝生→居酒屋。お酒好きの人事担当者たちと一緒に延々と。よく生きてたな。

明日はその時にもお世話になった方の、結婚祝い飲み会。パーティーではなく飲み会。楽しみ。

2010年11月17日水曜日

つながり

11/17、水曜日。

お昼、ジョブウェブ佐藤社長と打合せ。年明け開催の企みを着々と進行させる。佐藤社長をはじめ、複数の方が善意で動いてくださっているので、何とか実現&出演者全員&参加者全員が「参加して良かった」に着地させるのだ。

いろいろお話をしていて「つながり」の大切さを実感。就職・採用という同じ領域で10年仕事をしていると、共通で知っている方がどんどん増えて、みんなつながっているなぁと思うことが増えた。

つながりと言えば、佐藤社長から聞いた、twitter でつながった高校生の話に驚愕。すごい高校生たちがいるんだな。「優秀な高校生」から「大学」が入学前に見限られる(「大学」での学びのタイミングを自己決定する)という現実が、既に始まっている。その判断をするためには「大学生」や「大学を卒業した人たち(社会人)」との「つながり」による情報収集が必要なのだが、それを web が可能にしている。web を起点に、動ける人は高校生でも、動く。

溜めてしまっていたメール返信や、アポイント依頼や諸々、あっという間に夕方になり、夜になる。

高校の同級生、大学の友人、前職の元メンバーから、珍しくケータイメールがくる。特に前職の元メンバーからは「新卒に関するこういうシンポジウムがあるらしいですよ」というお知らせ善意メール。

みんなつながってるな。
反省の多い1日だったので、なんだかホロリとしそうになる。

明日も気合入れて働こう。

誇りと尊重

11/16、火曜日。

午前中、起業時からお世話になっている税理士さんを訪問。税理士、特定社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士、CFP…ご自身のtwitter自己紹介欄でも「難関資格オタク」「仕事が唯一の趣味」と書いているが、頭が抜群にキレて、人間味があって、ビジネスアイデアをたくさん出してくれる、ありがたい存在。現状報告と今後のご相談、アイデアブレストにお付き合いいただく。感謝。

そしてこの方自身の今後のビジネス案も聞き、なるほどうまいこと考えるなぁと感嘆。

1)ビジネスアイデアは、ジェームス・W・ヤングが名著『アイデアのつくり方』で書いた通り、既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない
2)優れたビジネスは、アイデアをブラッシュアップさせ、関係者全員がハッピーになり、利益が継続してあがるモデルである

という2点を再確認。

喫茶店にこもってセミナーアンケート集計。
立教大学『仕事研究セミナー』は学年不問で行っているが(「仕事の実態を理解する」ことに早い遅いは関係ないから。「仕事」を意識したとき、「知ることができる場」がある状態に意味がある。そして授業の妨げにならぬよう夜開催、念のため)毎回、1,2年生が20~30名も参加してくれる。自由記述も、1,2年生がかなり熱っぽい、長いコメントを書いてくれる。

本屋に立ち寄り、企画に関するビジネス本を購入。
この類の本、社会人初期は読んだだけで仕事ができる気になり、しばらくすると、結局自分で考えて実行しないと意味ないじゃんと思い、最近は、いやそれは違うでしょ、うんうん、それは同意見、と対話のために定期的に一定量を読んでいる。

池袋へ移動。立教大学『仕事研究セミナー ~知られざるNo1企業の仕事~』を開催。“No1”がある、成長企業やBtoB企業など4社への公開インタビュー。学生満足度はとても高かった。

終了後、何人かが質問にくる。毎回同じで「どうすれば伊藤さんのような質問ができますか?」。キャリアセンターの方からも「質問ができるようになる、社会人から話を引き出す、という趣旨のセミナーをやったらたくさん集まるでしょうね」と言っていただく。考えてみようかな。

参加企業の皆さんと懇親会。紹介してもらった居酒屋で、魚が美味しかった。

自社、社員、仕事に誇りをもち、ゆえに他社(者)を尊重する、という価値観をきちんともって懸命に仕事をしている方と深くコミットし、同じ目標達成に向かって走る。

改めて心に刻み込む。

24時くらいに戻ってきたのだが、同じ電車で帰ってきた方が「伊藤さん、僕もここで降りるので、もう1軒付き合ってください」と言われ、地元のお店に行く。いつも通り、無礼なことをたくさん言ってしまったな。結構、深い時間に帰宅。

2010年11月15日月曜日

夜討ち朝駆け

11/15、月曜日。

午前中、立教大学セミナーのアンケート集計。「SE職」「営業職」の回の自由記述を打ち込んでいたのだが、「SE」って「理系が就く仕事」「プログラミングをする仕事」のイメージが強いんだね、学生にとって。「コミュニケーション力が求められる仕事ということに驚きました」の声が多かった。「営業」の回は、前回の池袋キャンパス開催時と同様「話す力よりも、聞く力が大切だというのが意外でした」が多数。そういえば、セミナーである方が「聞く、の次は、聞く。そしてその次は、訊く」と話していた。なるほど。

アンケートをまとめながら、改めて「学生」と「仕事」の距離を近づけることに意味があると実感。

夕方、日本経済新聞社の某編集部デスクと打合せ。ご相談を数点。「良ければ、打合せした後にご飯行きましょう」と言って頂いていたので、オススメのカレー屋さんへ行く。美味しい。

大学内セミナー終了後に「OBOG訪問でどうすればうまく質問ができますか?」と聞きに来る学生が多くいるのだが、やっぱり「自分が素直に聞きたいことを聞く」のが一番だと思う。今日も楽しくデスクに話を聞いていたのだが

・本紙(日経新聞)から現在の編集部(週間発行)に異動して働き方は変わったか
・夜討ち朝駆けって今でもあるのか
・新聞社の編集部って、骨太い男の職場、みたいなイメージがあるが実際はどうか
・怒鳴ると若手は辞めちゃうのか
・購読者数と広告数の推移はいかがなものか
・優秀な新聞記者とそうでない記者の差は何か
・最近はお休みの日は何しているのか

そんなことを聞いていた。ぜんぶ「自分が聞きたいこと」であり、その元は、相手と、相手の仕事に対する好奇心なんだろうなと思う。自分よりも一回り年上で、違う時代を過ごし、違う仕事に励み、違う価値観をもっていて、違う人生を歩んでいる相手への好奇心。私は私の人生しか歩むことができないから、人の人生を聞くのが楽しい。その中心を占める、仕事の話を。

「サービスタイム18:00~20:00、ビールは何杯飲んでも1杯100円」というステキなお店だったので、調子に乗って飲んでしまった。地元の駅に帰ってきてから、数々の誘惑にかられながらも「まだ月曜日!今週は飲み会たくさんあるから!」と自分に言い聞かせて、まっすぐ帰宅。

2010年11月13日土曜日

立教大と法政大と

11/8、月曜日。

会社説明会のファシリテーションをさせていただく某社と打合せ。

「学生」と「仕事・企業・社会人」を「ファシリテーション」を通じて近づける、と自分の仕事領域を設定して動いている起業1年目なのだが、横浜国大や立教大学のように、大学さんと組んで学内セミナー(社会人パネルディスカッション)をやるほか、企業の単独説明会におけるファシリテーションもやらせて頂いている。学生が知りたい「仕事や企業のホントのとこ」を私が「社員インタビュー」を通じて引き出し、学生に理解してもらう仕事なのだ。「上辺のいいところだけでなく、学生に誠実に向き合う」会社だからこそ、私のような「ぶっちゃけたところ、教えてください」スタンスのファシリテーションにニーズがある。今のところ、今年は2社計24回の説明会に関わる予定。

11/9、火曜日。

昨年、日経産業新聞に新卒採用に関するコラムを連載した際にもお世話になった、日本経済新聞社の某デスクに連絡。退職時にも「落ち着いたら食事行きましょう」と言っていただいていたのだが、先方もお忙しいので、連絡をするタイミングを逸していた。ちょっと、ご相談したいことがあり、携帯に連絡すると「では来週、夕方打合せして、良ければそのままご飯行きましょう」と嬉しいお誘い。感謝。

そういえば、新聞連載の際に感動したのが、この方の文章力。
メールを送って数分後には、赤入れして、数段分かりやくなった文章がFAXで返ってくる。新聞記者を新聞記者たらしめる能力は多数あるのだろうが「分かりやすい文章を早く書く」ことは必須なんだろうな。ちなみにこの方とは、何度か晩ご飯を食べに行ったことがあるが、お酒を飲まない。聞くと、私と食事をしてからも社に戻って、終電までか、日によっては1時、2時まで、朝刊の仕事をするそうだ。何気なく手にしている朝刊も、多数の方々の「作品」なのだ。

夜は立教大学『仕事研究セミナー』。テーマは「営業職の意気と苦悩」。営業出身、現・採用担当4名の方によるパネルディスカッション。具体的な仕事内容、大変さと喜び、営業職に必要な力、ノルマ(って言葉を使う会社はほぼないけど。数字目標のこと)、接待、そんな、学生が気になることを誠実に話して頂く。アンケートでは「営業は大変、というイメージは変わりません。でも、大変だからこそやりがいがある、ということがわかりました」という声多数。分かってくれて良かった。

ちと、反省することがあり、帰りに地元バーへ立ち寄り。
久しぶりにお会いした、グローバルメーカーの総務部長と、マスターと、男3人でまったり。

11/10、水曜日。

外出無。ほぼ1日、前日のアンケート集計。アンケート提出者、326名が書いてくれた一言一句を、すべて出演企業と大学にフィードバック。満足度は高くて嬉しいが、残念なコメントも数件。その矛先が出演企業に向いていて悩んだが、原文のまま記載。私ができること、すべきことは、ネガティブな声を「なかったこと」にするのではなく、「正しく出演企業に届けること」。次回に向けた改善を考える。

11/11、木曜日。

法政大学キャリアデザイン学部の某ゼミ見学。先日、あるシンポジウムでこの先生の話を聞き、感銘し、初対面で不躾ながらその場でゼミの見学依頼をしたところ、許可をいただいたのだ。それにしても、1年生って元気だね。特に女子。彼女たちを見ていると、無敵なんじゃないかとすら思う。

見学後、先生の部屋で、教員が学生にすべきこととか、日本の新卒採用に対する率直な意見とか、現場への実影響とか、人材ビジネスとか、いろいろ情報交換。先生は「採用で勉強の邪魔をしないでほしい」と思いながらも、ゼミ生のために、就活シーズン中はゼミのカリキュラムをストップし、就活対策に充てているらしい。真剣に学生と向き合っている教員の方の“思い”を初めてじっくり聞き、貴重だった。学生一人ひとりと向き合う、このような先生が多く生まれ、「大学教員、職員による学生評価」と「企業の採用選考時の学生評価」の接続を密接にしていくことに、「誰も得をしない」現在の新卒採用システムの未来がある気がしてならない。

あっという間に時間が過ぎ、昼ご飯を食べ逃す。

立教大学へ移動し、『仕事研究セミナー』。この日のテーマ「SE職の意気と苦悩」。出演者の話を聞いて、SE職に求められる力、仕事の実態が「コミュニケーション」であることに驚いた学生が多くいた様子。文系もOK、って話にも。仕事の実態を知るのは大切。だからこそ、営業志望の学生にももっと来てほしかったな。

11/12、金曜日。

立教大学『仕事研究セミナー』。この日は新座キャンパス。テーマは「営業職の意気と苦悩」。営業職に必要な力を質問したところ「聞く、聴く、そして、訊く」との答えがあったのが印象的。営業マン教育も勤めていたこの方のお話が大好きだ。「倒れる時は前向きに!顔から落ちろ!」と教えてくれた方の、師匠でもあるのだ。

セミナー終了後、学生数人から質問を受ける。「いま、私が知らない優良企業の見つけ方を教えてください」と聞かれたので、1.来週のこのセミナーに参加する(テーマ「知られざるNo1企業の仕事」) 2.企業HPの「主要取引先」を辿っていく 3.合説や学説で人がいないブースばかり巡る、とアドバイス。それにしてもしっかりしてる学生だったな。

アルバイト学生と最終のスクールバスにのり、池袋までいろいろ話す。がんばれ、恋。

帰りに、記録としても残るから、日記としてブログを書いてみようかな、と思う。