2010年12月28日火曜日

合言葉

12/28、火曜日。

一橋大学を訪問。
大学の方と、学生起業した方と、3人で打合せ。うん、おもしろかった。どう発展していくかな。ワクワク。

今日で仕事納め。
今夜から嫁の実家の広島へ帰省する。

今年は自分の人生にとって、ひとつの分岐の年だった。

・新卒で就職し、8年間、必死に働いてきた会社を退職した。
・起業した。
・例年よりも多くの人と出会った(ざっと200名くらい)
・幾多の離婚危機(あ、書いちゃった)
・高校の親友との再会。
・中学の同級生との同窓会。初恋の人との再会。
・大学の仲間うちの結婚式での再会。
・社会人になってからもっとも酒を飲む回数と時間が(ダントツで)多かった、尊敬する親友の転勤。

性格なのか、バカなのか、いつも大事な選択の時は「おもしろそうなほう」を選んでいる。不安はない。選んだ道が正解になるまで、負けずに、上を向いて笑いながら歩めばいい。

7月に起業して、本当に多くの人たちのご厚意に触れ、感謝しっぱなしである。23社と3校の取引先の方をはじめ、今年、関わってくださった人たちのことは(モノ忘れがひどい私であっても)一生、忘れない。

ありがとうございます。

我が家には合言葉がある。調子に乗りやすい私に、嫁が「復唱しろ」と命じている合言葉。

「忘れるな、感謝の気持ちと謙虚な心」

いろいろあったけど、妻に感謝。
ありがとう。

皆様、良いお年をお迎えくださいませ。

半期終了し、まずまず順調です

12/27、月曜日。

お問合せいただいた企業さんへ訪問、商談。新卒就職・採用に関する私の思いと、ビジネスとして何をしているかは伝わったかな。「共感するので、何かぜひ一緒にやりたいです」こういう台詞を定期的にいただけるのは、仕事だからこそ、かな。

28日の夜から、妻の実家の広島へ行く。

年賀状に手間取る。

今の大学生って、年賀状やり取りするのかな。
私はほとんど(ほぼゼロ)しなかったけど、社会人になり、そして今だと個人用と会社用、合わせて結構な数になる。「これって必要か?」と自問したが、必要だな。メールに取って変えたくないコミュニケーションのひとつ。

夜「おい伊藤!年末だぞ!会社うまくいってんのか!うちの女子共と合コンしてくれ!ワハハ!」という酔っぱらい電話。社会人としての兄貴的な存在で、大企業でバリバリビジネスしている。2年前、久しぶりに日本勤務に戻ったが、数年以内にまた海外勤務になるらしい。お子さんもまだ小さいのに。そう言えば秋に一緒に宇都宮ツアーしたな、この人と。数年前の出来事のみたいだ。

何だかんだ言いながら、私のことを心配してくださって電話をかけてくれる人が多い。感謝。

半期終了し、まずまず順調です。
ありがとうございます。

2010年12月27日月曜日

NHKアナウンサーに学んだファシリテーション

12/25、土曜日。

朝から大掃除。夜、NHKの新卒就職特集を見る。

新卒問題については、じっくり年末年始に考え、まとめるつもりだけど、それにしても、アナウンサーのファシリテーション、良かったなぁ。

・場(の雰囲気)をつくる
・意見を受け止めてさらに引き出す
・論点や主張を整理する
・まとめて分かち合う

ファシリテーターにとって大切なこういう役割を見事におこなっていた。学び。

・・・・・・

「就職難問題は社会のありようの問題」という総論は同意なのだけれど、であれば、私が目指す「社会のありよう」を再整理するところから就職問題を考えなければならないよな、と思ったり。地道に努力している人が報われない社会は悲しいが、実際に今、そういうことが就職採用の現場では起きてしまっている。一方で、努力「しない」人を「社会全体で」救う必要はない。努力しないで「新卒就職問題をどうにかしろー」と思っている(言っている)学生は、たとえば、ろくに働かないで「正社員なんだから定期昇給させろー終身雇用しろー」と言う大人を見て、どう思うのだろうか。

学生の「努力」の方向性は、決して「就活」ではない。そこを大人がミスリードしてはいけない。「構造的に」努力を就活に向かわせてしまっているのも現実。キーになるのは、大学と企業と就職支援会社の接続の在り方。改めて年末年始に。

起業後、初の人事担当者向け講演決定

12/24、金曜日。

某業界に特化した、採用支援や人事勉強会を主催している企業の社長と打合せ。

人様からのご紹介で私のことを知り、HP等を見て、1月開催の勉強会で新卒採用に関する講演をやらせて頂くことになった。

「就職・採用・キャリア支援領域に特化したファシリテーター」として事業展開をしているが、振り返ってみると、前職時代から採用(人事)担当者向けの「講演」も定期的にやらせていただいている。もちろん時々によってテーマは異なるが、講演の仕事の際にはいつも「自分だからこそ伝えられることは何だろう」を考える。軸足の置き方というか。今回は採用担当者以外の人事職の方々もいるということなので、話題の新卒就職・採用問題の俯瞰的な解説と、それぞれの立場の人たち(大学・企業・就職支援者等)が何をどうしようとしているのかと、特に大学のキャリアセンターの取組みについて話そうと思う。最後に伝えたいことはわりと明確に決まっている。

ところで、12/24はクリスマスイブ。

我が家にはクリスマスで盛り上がる習慣がない。妻と、なぜ我が家ではクリスマスで盛り上がらないか話してみたところ「浮かれて盛り上がるのは、1週間後の年末年始で十分」という考えをしていることを発見。あー、太るんだろうな、今年の年末年始も。

年末年始に読みたい本が溜まっている。
新卒就職採用問題に関しての自分の考えもまとめる。

ふと、年賀状に手をつけていないことに気づき、焦る。

2010年12月23日木曜日

一流講師と二流講師

12/22、水曜日。

早稲田大学を訪問。
近所のお寺(神社だったかな)で何かあるらしく、朝から賑やか。

その後、東京大学を訪問。
いつもと違う校内の道を歩いてみたら、スターバックスとかコンビニとか、いろいろあるのね。歩きながら本を読んでいる男子がいて、さすが最高学府、とか思ったり(偏見?)

帰りに銀行へ寄り、手続きいくつか。そうそう、銀行内で財布を拾うという、何だかマンガみたいなことが起こる。足元に落ちていたのだ。すぐに落とし主が見つかって良かった。

来春~夏、某大学での連続セミナーが決定。いろいろなことが動き出す。

夜、急きょ、キャリアフラッグ株式会社・代表の熊澤さんと忘年会。近所なのだ。春にはお互いの夫婦揃ってお花見したな。

熊澤さんは講師(メッセンジャー)、私はファシリテーター、という違いはあるものの「就職・キャリア」という同じ領域で仕事をし、年齢も近く、法人設立の時期もほぼ同じ。ツーカーで話が通じるし、学びも多い。

キャリアに携わる仕事は、時に相手の人生を大きく左右する。その自覚をもち、愛によって責任を引き受け、学生・若者と向き合っている(寄り添っている)か否か。それが一流講師と二流講師の決定的な差なのかなと思ったり。熊澤さんも今までお会いしてきた素晴らしい講師の方々も、皆、学生や若者に対する愛が深いんだよな。そして死生観を明確にもっている。

そう、死生観。

「たぶん、まだ、死なない」と思って生きている人より、「絶対、いつか、死ぬ」ことを前提に、死生観をもって生きている人たちのほうが日々に一生懸命。だから気持ちいい。だから人が集まる。「何で生きてるんだろう?」は思春期に悶々とやればよいけど、「どのように生きるべきだろう?」の自分自身に対する問いかけは大人になってからも必要だと思う。

一人でバーに立ち寄り。愉快な関西のおじちゃんや、自作のテイスティング表に書き込みしながらウィスキーを飲んでいるお兄さんや、ゲイの方や、危ない話をいきなり切り出した30代の女性らと盛り上がり、帰宅。2時。

2010年12月22日水曜日

稼ぎたい

12/21、火曜日。

税理士さんと打合せ。
1月からの自分の給与を決定。何だか不思議な感じ。途中から社労士さんも交えて、やいのやいのと。社労士さん、12月は本当に忙しいみたい。

大前研一さんのこの記事にもあるように、私も学生や20代前半の社会人と接していて「偉くなりたい」「稼ぎたい」という人が少ないな、と思うことがよくある。

私は稼ぎたい。

理由は

1)仕事を通じて人様に価値提供できているか、自分自身が納得するための最良の指標だから
2)美味しいもの食べたいし、美味しいお酒をきちんとしたお店で飲みたいし、車も欲しいし、家も欲しいし、お金がかかる遊びも経験したいから。旅行にも行きたいし。今までご迷惑ご心配をおかけした人やご馳走し続けてくれた諸先輩方にも恩返ししたい。家族には言うまでもなく。

うーん、どちらかと言えば稼ぎたい理由は、1)の比重が大きい気がする。稼げばいいとか、稼いだ者勝ちだとかは思わないけれど「伊藤さんのおかげです」と10回言ってもらうより、正当な対価をいただき、きちんと利益を生み出し、自分にも妥当(健全)なフィーを払うことのほうが大事だと思う。分からないから、人の言葉は。ビジネスだと特に。そして正当な対価を発生させないビジネスは成功しない。というのはあるものの、根っこは、自分自身が不安なんだろうな、お前は本当に人の役に立っているのか、と。

夕方、某社の学生向け採用セミナー見学。「個々人の人柄や、社員同士の関係性」を知ってもらう場としては、すごく良かった。笑い多きセミナー。

夜、美人事忘年会に参加。

web系の急成長企業の人事担当者が中心で、男女半々、20代半~30代の方々が30名以上。聞くと、元々、つながりのあったweb業界の女性採用担当者同士が「美人事になりましょう!」と盛り上がり、輪を広げているらしい(間違っていたらゴメンなさい)。おもしろい人はたくさんいるし、おもしろいビジネスもたくさんある。刺激をもらえるから、初対面の人たちと会い続けることは継続しよう。

web業界中心の集まりって、やっぱり渋谷なのね、帰り易くて便利、とかどうでもいいことを思ったり。

バーで一服して帰宅。2時。

2010年12月21日火曜日

来夏、TOEIC を受ける

12/20、月曜日。

日本学術会議、東京大学、朝日新聞社共催のシンポジウム「大学教育と職業との接続を考える」に参加。2回目の今回のテーマは「大学教育と産業社会の関係について考える」。

一部の学者先生のプレゼン力とか(企業の若手社員なら「内容云々の前にきちんと声出せ!」って突っ込まれる感じ)、シンポジウム全体での論点整理の重要性とか、いろいろ思うことはあったけど、私自身の知識不足によってついていけない(うまく理解できない)点が多々。もっと勉強が必要だな。初等教育・中等教育と高等教育の意義の違い、大学入学(入口)のあり方あたりが特に。就職を中心とする「出口」の話はもちろんついていけるわけだけど。

ちなみに、第1部の5名の講演タイトルを列挙すると

・学士課程教育の質保証
・高度人材の育成と活用
・産業界の求める人材像と大学教育への期待
・企業の人材養成力と大学教育で培う力
・人生前半の社会保障とこれからの若者・大学・日本社会

それにしても、日本の総人口および労働力人口が減少する。
現在、1人の高齢者を3人で支えている日本は、2055年には、1人をたった1.3人で支えなくてはならない(日本経済団体連合会試算)。

「技術立国」として、キャッチアップ型から経済成長期にフロントランナーに立ったはずの日本の理系離れも止まらない。特に心配なのは、学部から博士まで進学する工学系人材の少なさ。東大ですら、学部から博士まで進む(学内進学者)率は、8~9%とのこと。主因の一つに、日本企業が諸外国と比較して、博士を採用しない傾向がある。※誤解なきよう補足:東大の博士に関しては(少し時間がかかるケースもあるようだが)就職はきちんとできている。

大学生の多くを占める「文系の学部生」についてはご案内の通りの就職状況。

明るい兆しが少ない。

早急に「日本は何で利益・付加価値を生み出し、食べていくのか」を国家戦略として明確にして、教育とも連携しなくてはならないことを実感。時間がない。私は何ができるだろう、すべきだろう。

それと、本日のシンポジウムの最後に、日本学術会議と東京大学副理事長名で、大学、企業、学生に求めることが言語化された。近いうちに発表されるのだと思う。

終了後、アカデミックキャリアの先生と、喫茶店で本日の振り返りとか諸々雑談。採用時期について考える。「4月、9月の2回入社」「就活メイン時期は、最終学年の1月~3月(卒論提出後)」「4月からもそのまま就活継続する場合は、4月には比較的求人があるハローワークとの連携」「翌年の就活にする場合は、実質9ヶ月間、何かに打ち込む時間を確保する」なるほどな、と思う青写真。

あと、最近(ここ2,3年)中国人を中心に、外国人学生の評価が企業からすこぶる高いが、彼ら彼女らの評価と、日本人学生を評価する際の基準には、ダブルスタンダードが存在することに気づいたり。言語化できる「見える力」で前者は評価され、人柄とか相性とか言語化できない(少なくとも本人にとっては相対的な自分の立ち位置が分からない)「見えない力」で後者は評価されている。

企業がターゲット校を明言できないのであれば、いわゆる「求める人物像」で、学生自身が「自分はこの企業から採用される確率はどの程度なのか(宝くじみたいなものなのか、相手との「縁・相性」レベルなのか)」を分かるようにする必要があるが、実は「人物重視」という表現がそれを阻害する代表的な表現ではないかと思ったり。

夜は、某社の人事担当者さんと忘年会。1年間、本当にお世話になったなぁ。感謝感謝の方。2010年の良かった出来事のひとつは、この方との出会い。

TOEIC を受けることにした。来夏。

いや、前々から気になっていたのだ、語学。大学のキャンパス内でも日本語以外を聞く機会が多いし、現在30歳でファシリテーターという仕事をしている以上、近いうちに必要とされることになるだろうなとは思っていたのだ。飲んでいて、この方が受けると聞き、私も受けることにしたのだ。

高校時代、英語は5段階評価で「2」をとったことがある。
高校時代、受験で点数をとるのは数学で、英語は「捨て」科目だった。
今まで一度も、TOEIC を受けたことがない。

今からドキドキ。
とりあえず、近所に「国際交流センター」があるから、そこで外国人の知り合いをつくろうかな。ん、パブのほうがいいのかな。

2010年12月20日月曜日

仲間に乾杯

12/17、金曜日。

忘年会。

仕事をし始めてから出会った、気が置けない人たちばかり13名。
定期的に集まるようになったのが、かれこれ5年前(ん?もっと前かな?)。当時、ほぼ全員が採用担当者だった。ほぼ全員が30代だった。毎年春には、伊豆へお泊りに行く仲間内。私の結婚式で演劇をしてくれた仲間内。

当たり前だけれど、皆、大人だから、普段はビシッとしている。
もっと当たり前だけれど、皆、普段は顔にもクチにも出さないが、人生いろいろある。悩みは尽きない。自分の努力だけでは何ともならないことも起こる。

忘年会だから語られる話がある。家族のこと、仕事のこと、恋のこと。
忘年会だから皆で choo choo train を踊ったりする(貸切のスナックで)。

社会人になってから出会えた、年齢も立場もバラバラで、お酒が好きで、気合入れて仕事をしている「仲間」に乾杯。

朝帰り。

2010年12月17日金曜日

惹きつける話し方

12/16、木曜日。

朝イチで東海大学の湘南キャンパスを訪問。
アポいただいた際に「その時間なら駅から学生がたくさん歩いてますから、流れにのってくれば着きますよ」と教えてもらったのだが、仰る通り、すごい人の数。圧倒されて、ちょっと笑った。

大学ごとに課題は様々。

午後は、昨日とはまた別の、説明会のお手伝いをさせていただく企業と打合せ。気合が入っている方との仕事は気持ちいい。元気になる。元気は伝播する。そう言えば次週この方と忘年会なのだけど、(再び?)ご迷惑をおかけしなように気をつけねば。

夜になってからのこと。

オフィスを兼ねている自宅に訪問者。「夜分に失礼致します。サークルの勧誘で伺いました」。

30代半ばくらいの女性と男性のペア。二人とも小ざっぱりと清潔な第一印象。
(後から分かったのだが)女性が“先生”らしく、説明を始める。男性は2歩後ろで控えている。「日本は経済的には豊かになったかもしれませんが、心は果たして豊かになったのでしょうか」。

ちょうど仕事が一区切りついたタイミングだったので、興味を持ってしまった。何に、というと「人を惹きつける話し方」に。実際、30分も話したのだ。玄関口で。寒いなか。

普段の活動は、街の清掃と人生相談で「非営利」とのこと。いや、このあたりのことは誤解を生みやすいので書かないけど(そして残念ながら私はサークルには入らないけど)“先生”は「滅多にやらない」姓名判断と私の運命・運勢について解説してくれたのだ(起業した私は今「これから上がるか下がるかの岐路に立っていて」、気をつけなくてはならないのは「家庭愛」らしい)。

そうそう、惹きつける話し方の話。

考えてみたのだが、こんなところだろうか。

・清潔感(これは話し方以前の話として)
・間、目の合わせ方(一般的には「言いづらい」類の、相手に不快感を与えかねないことを言う際に、間をとり、スッと目を合わせて外さずに言いきる)
・声のトーン(淡々と褒め、キーメッセージだけトーンを変える)
・全体を抽象的にほめる。または、確認しようのない「ちょっと嬉しい話」をする(先祖の話とか)。その後「……(間)(すっと目を合わせ)一点だけ、気になる点があります」と切りだす。
・第三者(男性)が“先生”の価値をあげる合いの手を入れる(「普段、先生は滅多にこのような場で姓名判断などされないのですが」など)
・途中からは口頭でも伝わることをあえて紙に書きながら、体(視線)を私と「対立」ではなく「同じ方向(同じ対象物)」にすることで警戒感を薄める。

実際のところ、どのような方か分からないので何ともアレな話なのだが、(意図的にしろ、自然と身についたにしろ)「惹きつける話し方」であったことは確かなわけで、勉強になった。

「これからの人生が、豊かに上がっていくか、下がってしまうか、言わば風船みたいなものです。一点、小さい穴でもあいていると、風船はしぼみ、やがて落下します。……サークルに入り、穴を塞ぎませんか」これがクロージングトーク。「穴を塞ぐよう、自分でがんばります」というのが私のお返事。

気づけばズケズケといろいろなことを言ってくれたので、私もその方の印象をお伝えしたら、特に反応してくれなかったな。残念。

そんなこんなで一日、終了。

2010年12月16日木曜日

国際基督教大学に惚れた

12/15、水曜日。

国際基督教大学を訪問。

武蔵境駅から国際基督教大学行きのバスに乗って行ったのだが、正門くぐってから建物へ向かうストレートの長さにびっくり。

何ていうの、気、を私は結構信じているのだけれど(良い「気」をもっている人や場所ってある)良い気を感じたなぁ。解放感もあるし、自然に囲まれているし、あーいいなこういう大学、と降りてすぐに思う。

建物への道が合ってるか不安だったので、歩いていた学生に訪ねると、丁寧に教えてくれて、最後に「お気をつけて」まで言ってくれた。あ、ICUに惚れ始めてる。

その後、担当の方と打合せを終えて、ICUに完全に惚れた。
今自分が学生だったら一番入りたいな。
皆さん上品だったというのもあるけれど、惚れた理由はざっとこんな感じ。

・打合せ後、自校のポリシーや考え方を資料を使ってプレゼンしてくれた。
・アドミッションポリシーが明確。どんな人に入学してもらいたいのか、どんな人を輩出することを目指しているのかが明確。
・あらゆる意味で学生の「学び」を最優先。
・少人数。
・大学そのものが“キャリアセンター”という考え方。
・3年次に専攻選択。
・3学期制。

それと、卒業後の進路で東京大学の院に進む人が34人もいることに驚き(学報第26号より)。

うーん、どうしてもっと早く訪問していなかったんだろう。

Aさん、またよろしくお願いします!

1年目の仕事は掃除のみ

12/14、火曜日。

中央大学を訪問。
新百合ヶ丘で行き先の違う電車に乗り、途中で気づき、焦る。

お昼過ぎまでいろいろお話した後、一橋大学へ。
考えてみると、セミナーを実施させていただいた立教大学、横浜国大を除いては、夏以降に一番足を運んでいるんだな、一橋大学。

雑談含めてあれこれ話しこみ、久しぶり(起業してから初)の90分打合せ。

年末におもしろい学生を紹介してもらえることになった。自分でもビジネスしているみたいだし、うん、なにか絡めるといいな。

中央線で銀座へ行き、映画会社と打合せ。
年明けから始まる会社説明会に、私がファシリテーターとして参画させていただく。社員の「公開インタビュー」をおこない、そのやり取りから学生に仕事や個人の思いを理解してもらう、という趣旨。内容についてブレストしていたら、なんだかテレビ番組みたいな面白い感じになった。実現できれば珍しい手法になるんじゃないかな。

「今週は忘年会、金曜だけだし」と思って地元で飲み屋に立ち寄ったら、大工さんと意気投合し、がっつり飲んでしまった。ニッカポッカについて、親方が着るベストについて、ゼネコンからくる一流大学出の若手現場監督で心を許せる奴と許せない奴の違い、等々盛り上がったな。「うちの場合はね、最初の1年の仕事は掃除のみ。箒と塵取りだけ渡してね。1年はそれ以外の仕事はさせない。ヤンキー上がりとか、どんどん辞めてくけどね。でもね、ゆくゆくいい職人になる奴は、箒と塵取り、一生懸命やるもんだよ。『道具の大切さ』に気づくんだよ。同じ仕事でも、学ぶ奴と学べない奴ははっきり分かれるね」そんな話。改めて思ったけど、人の仕事の話聞くの好きなんだな、自分。

気づけば夜が更けて。

2010年12月14日火曜日

5時30分

12/13、月曜日。

朝からワタワタ。

7月に起業してから、自宅兼オフィスで7時30分頃から仕事をしている。今の私の仕事量でいえば(比較対象は会社員時代しかないのだけれど)そんなにバタつくはずはない。が、ワタワタしてしまったな。書類関係が主に。初めて取り組む仕事の時間の読み違い。うーん。

会社員時代は、月曜は5時30分に起き、6時6分の電車に乗り、6時48分に会社に着いていた。

月曜はほとんど(最後の1年は、始発で来る新入社員がいて、どちらが先か、半々くらいだったかな)最初に会社にいたし、他の曜日も、早い方だったと思う。誰が解錠・施錠したかを記入する用紙をみると、朝は私が半分くらいだった。

「酒を飲んだ次の日こそ、誰よりも早く行け」
そう教えてくれたのは、お客さんだった。

「午前中は仕事にならなくてもいい。トイレにこもっててもいい。でも、絶対に朝早く行け」そう教えてくれたのも、お客さん。小さい会社にいて、気合と根性と人情で仕事をしていると、お客様やパートナー企業の皆さんが「上司」になってくれる。真剣に叱り、真剣にマネジメントしてくださる。

会社をつくる=一人になり、自宅兼オフィスになり、「見られる」意識が欠けているかもしれない。外出がない日でも、商談できる服装に着がえ、それが気持ちを仕事モードにするきっかけなんだけれど、時間への意識が落ちているかも。

午後から千葉大学で諸々打合せ。ありがたいコメントをいただく。

明日も働く。

2010年12月13日月曜日

日本の大手メーカー社員の職場は海外へ

12/12、日曜日。

某社の就職イベント司会。

会場は新宿だったのだが、休日の新宿ビジネス街、人が全然いない。高層ビル内のお店も結構、閉まっていた。「ここがね、パパがいつも働いているところだよ~」と説明している親子連れを発見。うん、いいな、こういうパパ。パパはいつもここでいろんなものと戦っているんだ、娘よ。

イベントは、「機械系・電気電子系の専攻学生」を対象にしたもので、大手メーカーを中心に企業は限定10社。盛況だったし密な半日だったので、双方の満足度は高かったのではないだろうか。「文系は全員グローバル採用、理系の皆さんも半分の方はグローバルに働いてもらいます」など、約半数の企業が「海外で働くことになることを理解しておいてね」というメッセージを出していた。日本の大手メーカー社員の職場は海外へ、を実感。そりゃそうよね、日本市場が頭打ちなら外に出て稼ぐしかない。主催者の役員とは「3年以内に海外経験必須なんて、羨ましいですね」と裏で言ってたわけであるが。

そう言えば開始前、面識ある某社の採用担当者さんに「え?何で伊藤さんがいるの…?」と驚かれて面白かった。はい、そういう仕事ですので。

「実は今、長期インターンに行っていて、ベンチャー企業で働いているんです。そこに就職することはないと思うのですが、学生のうちに小さい企業のビジネス現場を学びたくて」という東大M1の学生の話も面白かったな。「卒業1年遅らせるつもりです。…先生はめちゃくちゃ怒ってますけど」。そこに就職はしない理由まで聞きたかったけど、時間切れ。

帰りに地元の駅で、同じく朝から仕事だった嫁と偶然、鉢合わせ。一緒に自転車こいで帰る。

さて、ビジネス営業日的には実質2週間で今年も終わり。
走りきろう。

立教大学『仕事研究セミナー』 全8日程、終了

12/10、金曜日。

朝イチで青山学院大学を訪問。
表参道っていつ来てもオシャレ。お店も人も。うーん、私の学生時代の服装では歩けない(歩いちゃいけない)街だよなぁ。基本、原付だったから「防寒」が最優先で、ユニクロを重宝していた。

「伸び伸びと学業や部活サークルに取り組みやすい」というのが郊外型キャンパスの良さだとしたら、こちらは「背伸びをするのに最適な環境」かな。「自分は、ま、こんな感じ」と学生が等身大の自己評価をすることは私には「もったいない、可能性を狭めちゃって」と感じる。

夕方から立教大学『仕事研究セミナー』。全8回の最終回。来てくれた学生の皆さん、参加してくださった企業の皆さん、アルバイトスタッフのみんな、そしてこのような機会をくださった立教大学キャリアセンターに改めて感謝。

営業、企画、No1企業の仕事、面接官の本音、と5テーマを開催したが、無記名式の学生アンケートでも評価はすこぶる高かった。参加してくれた企業の皆さんが、学生のために本音で答えてくれたことが大きい。そして予想以上だったのは、1,2年生の参加者の多さ。「1年生の今、社会人の話を聞くことができて本当に良かったです。就活を意識するのではなく、一日一日の学生生活を大切にします」そんなコメントが本当に嬉しかったな。

・同じ仕事(職種)でも、業界や企業(置かれている状況や戦略)によって仕事内容は異なる
・今は知らない企業でも、魅力的な企業はたくさんある。今、企業を絞ることはもったいない。
・仕事は「大変」だから「やりがい」がある
・面接官の考え方には共通点も相違点もある

そんな基本的なことだけでもまずは伝わればいいな。

この形式を次年度実施できないかと複数校と話をしている。

今後、より多くの学生に「仕事の実態」「社会人の本音」を「働く当人たちに来てもらって伝える」ことができるよう、本企画を積極的に提案していこう。

腹が立つことを見つける

12/9、木曜日。

法政大学を訪問。
外では20人くらいの何かのデモ行進。

何のデモだったか分からなかった(急いでたから)ので、ヘタなことは書けないが、「学生に元気がない」と採用現場では長いこと言われ続けているなかで、社会の何かに対して腹を立て、不服を堂々と申し立てるというのは私は良いことだと思う。

うん、腹を立てる。

学生のみんなは最近、何かに腹を立てているのだろうか。

前職時代、一時、20名近くの「人事部長」にインタビューに回ったことがある。2,3年ほど前の話だ。「採用・教育を通じての課題は何ですか」と。多かった答えが「競争意欲の欠如」だった。「同期と仲良くなるのは早い。先輩社員とのコミュニケーションも上手い。でも、競争意欲を感じられない」と。

「悔しい」とか「負けたくない」という気持ちは、「ビジネスやる上で必要だぞ!」と教えられて身につくものではない。マネジメント的には「褒め8、叱り2」とか言われるけど、根本は本人のなかの「○○を手に入れたい」という欲求、欠乏感があるかないかにかかっていると思う。その欲求の満たされなさ、欠乏感の理由を外部(社会とか)に見つけたとき「不公平だ!」と腹を立て、抗議するのだと思う。

腹を立てる、というのは、そのベクトルをうまくコントロールしてあげれば、かなりのエネルギーになるのではないだろうか。働くこと、就活に関しても。だから「何だかやる気が出なくて…」と思っている人は、「腹が立つこと」を見つける、というのも一案かもしれないな。

そんなことを思った一日。

2010年12月9日木曜日

面接官の本音

12/8、水曜日。

立教大学「仕事研究セミナー」池袋キャンパスの最終回。400名くらい来てくれたのかな、皆さんありがとうございました。

テーマは「面接官の本音」。セガサミーグループ、全日本空輸(ANA)、テプコシステムズ(東京電力グループ)、三菱電機ビルテクノサービスの4社の採用担当者さんのパネルディスカッション。

うん、最近よく言われる“茶番”面接なんて誰も望んでいない。学生が「面接官の視点」「面接官そのもの」をもっと知れば「いかに相手にウソをつき通すか、いかに自分を“盛って”見せるか」みたいな茶番は生まれないと思うのだ。

貸し出しDVD用や、学校広報用など、撮影も多数入っていたにも関わらず、パネラーの皆さんが、ぼかさず、真摯に応えてくださったことに感謝。

以下、内容一部をフィードバック(要約。企業の発言順ではありません、念のため)。

Q.そもそもどうして新卒採用をするのか?

・「先輩社員たちにとっての成長機会」
・「斬新な発想、チャレンジ精神の注入」
・「同期の絆を通じて全社としての一体感」
・「イチから教育することで一人前に育てる、だからできる仕事がある」

Q.魅力的な学生とそうでない学生の違いは?

・「自分できちんと考えて、やりきったことがある人」→「『自分にはないなぁ…』と自信をなくす学生はどうすればいい?」→「いや、20年生きてきたのだから、誰でも必ず一つはある」
・「自己分析を通じて、自分の良さ・強みを、当社のどの仕事でどのように生かしたいか、がはっきりしている人」
・「譲れない価値観、ブレない軸、をもっている人」→「それが分からない、と困っている人はどうすれば?」→「オススメは、友人でもご両親でもいいので、クチに出して言い合ってみること。クチに出すと、自分の価値観が理解できてくる」
・「目標をもち、達成するためにあれこれ工夫して行動し、壁を乗り切った経験がきちんとある人」

Q.面接で見ているのは「過去の行動・事実」それとも「これから何をしたいのかという未来」どちら?

・「学生は『仕事の本当のところ』は分からない。だから過去の行動、工夫したこと、考えたことを中心に聞いて、自社で活躍するかを想像する」
・「私は学生がイメージしている『仕事』が『夢みる』レベルでもいいと思っている。業界研究、企業研究したうえであれば。それで『何をしたいのか』を聞き、自社に合うかをみている」

Q.第一印象って評価にどの程度影響する?
→挙手で「第一印象だけで『あ、この学生はムリだな』というのが分かりますか?」と聞いたところ、4名中2名が挙手。

・「『通る学生』は第一印象では分からないけれど、『ムリだな』は分かる。きちんと、言ってみれば気合をいれて選考に臨んでいるか否かの差」
・「入社後の仕事は、印象が重視される仕事ではないので、第一印象だけでは判断しない。不快感を与えない印象、服装、振る舞いでなければ評価とは関係ない」
・「緊張するのは当たり前。緊張したからと言って、評価が下がることはない」
・「元気で笑顔、であれば良い」

Q.応援・アドバイスメッセージ

・「くじけるな。大変なことがいろいろあっても、くじけるな」
・「見ず知らずの人が書いたWEBの噂に振り回されないでほしい。自分で確かめ、自分を信じること」
・「恥ずかしがらないこと。面接は自分をPRする場。自分の話は『PRになっているか』を常に考えて面接に臨んでください」
・「意欲、経験、知識、自信。意欲をもって経験すれば、知識が拡がる。そして自信がつく。社会人でも活躍するのは『素直で謙虚な人』。素直で謙虚であることを忘れず、意欲をもってたくさんの経験をしてください」

・・・・・・

学生アンケートには「面接官といっても考え方って違うんですね」というコメントも多く、その点を理解してくれただけでも安心した。「皆さんの話、本当にタメになりました!ただ、これを全て鵜呑みにすると、それこそ『マニュアル化』してしまうと思うので、改めて自分なりに考えて行動します!」というコメントも。嬉しいな。

終了後、企業の皆さんと懇親会。また飲みすぎた、はしゃぎすぎた。

帰り際、ある方にこう言われた。

「うちの会社で採用できる学生って、何十万人の就活生のなかのたった数十名じゃないですか。でもね、採用担当の仕事をしていて、本当に心から、一人でも多くの学生に『厳しい現実にぶち当たっても、くじけずに就職してほしい!』って思うんです。『負けるな!』って。だから伊藤さん、一人でも多くの学生にとって、役立つセミナーがあれば、いつでも協力します。声かけてください」

こういう「面接官の本音」は、学生の前で言うとカッコ悪いけど、学生のみんな、結構多いのよ、こういうステキな大人。それは知っておいてほしいな。

3時帰宅。

2010年12月7日火曜日

「世界レベルの研究大学」「本当の意味での教養人を養成する大学」「全入時代を明確に意識した大学」

12/7、火曜日。

母校・横浜国立大学を訪問。

もう10年以上も前になるが、当時は原付で45分かけて自宅から通っていた。寒かったな、冬。恐かったな、環二のヤン車。当時は学校近くの友人宅で『ウィニングイレブン』に熱中し、ローソンへ夜食を買いに行き、くだらないエロ話で深夜まで盛り上がったものだ。何があんなに愉快だったのだろう。

今夏、数年ぶりに訪れると、学内にローソンがあり、図書館の1階はカフェになっていて、駐輪場の場所も変わり、校舎もキレイになっていた。驚いた。そういうもんなんだね、大学は今や。

移動中に、読みかけだった『大学破綻』(諸星裕/角川oneテーマ21)を読了。

日本型大学ビジネス、教育力の再生、大学から日本をよみがえらせるための提言、などがまとめられていて、また、諸外国との「大学」の違いも理解でき、大学と仕事をする身として参考になることが多かった。日本に必要な3つの大学は「世界レベルの研究大学」「本当の意味での教養人を養成する大学」「全入時代を明確に意識した大学」と筆者は言う。「学部の壁を取り払え」「プロ意識の高い職員を育てよ」と言う。イチイチ賛成である。

帰りに事務手続きで銀行へ。小規模企業共済制度に加入するための手続きで、これは役員としての自分の退職時に備えた一種の積立みたいなものなのだが、掛金が全額所得控除になる。会社員時代は、こういう共済があること自体まったく知らなかったな。そう、自分の老後も自分で設計しないといけないのだ。というか、老後って本当にくるのだろうか、なんてことを考える始末の人間だったのだが、立場が変わると、気にかけることも変わる。お恥ずかしいことに、起業してから生命保険にもきちんと入った。

そういえば加入した際「生命保険はいったから。俺が死んだら、○○○○万円はいってくるよ」と嫁に報告したら「ん?いつ以降OKなの?病気の場合は?事故の場合は?細かいことちゃんと教えて?」って食いついてきたな。いい嫁だ。今のところ相手に妙な動きはない。

明日は立教大学『仕事研究セミナー』池袋キャンパスの最終回。面接官(採用担当者)の本音を学生が理解できるように引き出し、それこそ「茶番」面接にならぬよう、ファシリテーターとしての本分を発揮する。

2010年12月6日月曜日

他責からは何も生まれない

12/6、月曜日。

神奈川大学と、横浜市立大学を訪問。
うん、神奈川っていいよね。神奈川県民歴が(数えてみたら)通算21年の私は「神奈川」というだけで、人やモノや学校に親近感をもつことがよくある。神奈川で幼少を過ごしたからかもしれない。

東横線の元住吉という町で育った。

親父が自衛官で、元住吉の官舎(なのに平屋)に住んでいた。小学校4年生で千葉に引っ越したので幼い記憶しかないのだが、学校が終わるとブレーメン通りという商店街をかけぬけ、広い公園で日が暮れるまで野球をしていた。公園には「近づいてはダメ」と言われているオジサンがいて、商店街には、あさりを売っているおじさん、同級生のケーキ屋さんと酒屋さん、そして家の前には駄菓子屋さんがあった。

大人は恐かった。

あさり屋のおじさんに思い切りゲンコツされたし(たぶん何か悪いことしたんだろう)、駄菓子屋さんには「そろそろ帰らないと、こわ~い中学生のお兄ちゃんたちが来るよ~」と脅された(駄菓子屋の隣はゲームセンターだった)。

あの恐い大人たち、商店街でお店をやり、悪さをしたガキへのゲンコツを躊躇しない大人たちは、お金持ちには見えなかったが、他人のせいにしても何も始まらない、という程度のことは知っていた気がする。

・・・・・・

大学キャリアセンター(や就職課や学生支援課)の方々と「就活生の保護者(親)」の話がよく話題になる。入学偏差値の高低関わらず、どの学校でも、だ。就活に対する親の介入が、笑い話ではなくなりつつある。

・うちの子が就職できないのは学校が悪い、という申し立て
・電話で2時間、泣きながら一方的な愚痴
・アポ無で両親そろって来校
・「○○社に内定をもらったのですが、もっと大きくていい会社に就職させたいので、辞退するよう、うちの子に学校からも言ってください」という要求

夏以降、実際に聞いた話だ。キャリアセンターの方も大変だなぁとしみじみ思う。

この厳しい環境下、親が就活へ介入するのは仕方がないと思う。私は子がいないから想像だけど、親バカって、程度の差こそあれ、そういうものではなかろうか。けれど、ベクトル(責任)を学校に向ける保護者に私は気持ち悪さを感じる。それは「学校に私たちはお金を払っている」“から”「対価として就職責任を学校に求める権利がある」という図々しさが(また聞きだけど)見え隠れするからだ。

もちろん、実際に厳しい就職環境を改善し、一人でも多くの学生が「スタートライン」に立てるよう、自分が何をすべきか、何ができるか、就活支援者の一人として私も考え行動しているけれど、すべてを「他責」にする保護者や学生の支援をできる自信がない。

お金は万能じゃない。お金で買えないものがある。
人は自分の意志で変わることはできる。けれど、他人の力で変えてもらおうと思っているうちは、変わらない。
残念ながら、努力が成果に比例しないことがある。
就職、進路、自分の生き方の責任は自分にある。

そういうことを「理解できない」または「意識的に理解しようとしない」「受容しようとしない」親が増えているのであれば、げんなりする。

他責からは何も生まれない。でも、自責だけだど、しんどくなる。

「学校が悪い!」と心底お怒りの保護者の皆様、ここはひとつ、半々でまいりませんか。

2010年12月2日木曜日

本屋さんの魅力

12/2、木曜日。

午前中は法政大学、午後は首都大学東京を訪問。首都大学東京、初めて行ったけど、あのキャンパスの雰囲気好きだな。どうしてだろう、出身大学と同じ匂いがするからかな。

12月は積極的に都内と神奈川の大学に足を運ぶ。人との出会い、仕事との出会いが私が仕事をするうえでの醍醐味のひとつ。どんな人と、どんな仕事と、これから出会えるんだろうか。わくわく。

帰りに地元の駅ナカの本屋にふらりと立ち寄る。
どの本屋でも、就職コーナーはチェックするのだけれど、大型書店では発見しなかった、お、と思う就活本を発見。まだ半分しか読んでいないから言い切れないけど、良著の予感。こういう出会いがあるから小さい本屋も油断ならない。

本屋なら何時間でもいられる、という人は多いけど、私もそう。

叡智が結集されている本とか、心ゆさぶられる本とか、今の世界を知ることができる本とか、目からウロコの本とか、生活に役立つ本とか。たくさんたくさんの本に、著者の思いが詰まっていて、編集者や装丁家の隠れた職人仕事があって、取次の営業マンの頑張りがあって、本屋さんの個性があって、そうして今、私の手に、一冊の本がある。

そんなことを想像するだけで、愛おしい気持ちになる。これからどんな出会いがあるんだろう、ってわくわくする。

本屋さんの魅力は、本を読まなくても幸せな気持ちになれることかもしれない。

2010年12月1日水曜日

美人事

12/1、水曜日。

美人事、が流行っているらしい。

らしい、という言い方もあれだけど、twitter を読んでいる限り、「美人事が集うクリパ(クリスマスパーティー)」とか「美人事トップ3」とか、そんなtweetが盛況。で、今日、メールで、その美人事の一人から忘年会のお誘いがあった。メールの最後には、こんな一行。

「正直、美人もいません・苦笑」

・・・・・・

日本企業の人事の仕事の本質は、私は「社員一人ひとりが定年退職の際『この会社で良かった』と心から思うことができ、同時に、企業利益を最大化できる人材マネジメント(採用~研修はじめ戦略人事)施策の実施」だと思っている。ゆえに嫌われるし(たとえば教育要素が強い育成施策は本人にとって「価値がある」とその時点では分からないから)、「あいつは分かってない」と言われ、辛いことも多い。人事のなかでも採用担当は特殊で、企業広報という点で「どう見られるか」には気を遣わなければならないが、これからの会社を創る「仲間」を見つけ、手段として自分個人の「思い」を語る、ポジティブな仕事であると思う(だから勘違いする人もいる)。

本物の人事は、仲間に「愛」がなくてはならない。これまでの会社を築いてくれた社員、現社員、そしてこれからの会社を創る社員。

そこでふと思った、美人事、という言葉について。

美、という言葉のなかにも「人」がいるんだ、下に。下から支えているんだ。

人の事を、美しく下から支える人。
そんな人を私は「美人事」と定義したい。

美人事忘年会、楽しみ。どれだけ美人事がいるのかな。
そして(男女問わず)美人事の皆様、忘年会しましょう。

師走を駆け抜ける。

最初にやっつける苦手仕事

11/30、火曜日。

月末なので、11月の振り返りと、12月の行動計画。

戦術が不十分→結果が出ない→気合で頑張る→疲弊する→質が下がる(商品サービスや商談・提案のひとつひとつ)→さらに結果が出なくなる→負け癖がつく

そんな、ありがちな負のスパイラルに陥らないために、戦術・計画づくりには時間をかける。

一番怖いのは、負け癖がつき、結果が出ていないのに「頑張っている自分が気持よくなっている」状態に入ってしまうこと。ビジネスは結果が出ないと何もしていないのと同じなのだ、という基本を自分に言い聞かせる。

会社員をやめ、一人になってから感じることは、戦術をすぐに変更できるやり易さと、自分の苦手意識のあることを無意識に避けた戦術・計画になっているのではないかという不安。

そう、相変わらず、苦手意識のある仕事はある。

特に、見ず知らずの人へのTELアポは、昔から、ずーっと嫌いだ。
だから、やらない目標達成手段を考えるのだけど、それが有効でないなら、感情を排して計画に入れるしかない。そういう仕事は、一番最初にやる。やっつける。

だから、12月の行動計画ではあるけれど、計画を作り終えた直後に、早速、大学複数校にTELアポ。ちょうど、セミナーや学生からの相談が増えて忙しい時期になってきているにも関わらず、3校連続でアポをもらえる。あはは、楽しいじゃん、TELアポ。と思ったのも束の間、4校目で撃沈。心の中で少しだけ悪態。

移動の電車内で「失礼ですが、靴紐、ほどけてますよ」と紳士に声をかけられる。惚れる。

午後は某新聞社とセミナータイアップに関する打合せ。今回はお互いが納得できる落とし所が見つからず、タイアップは見送りに。うーん、残念。でも、末永いお付き合いになりそうな方々とお会いできたことに感謝。見学にも来てくれるそうだ。

もう冬だ。斉藤和義が心地よい。

2010年11月30日火曜日

科学的管理手法への逆戻り

11/29、月曜日。

午後、明治大学・駿河台キャンパスを訪問。少し早めに着いたので、ロビーで時間を潰していたら、守衛さんに大きな声で挨拶していった人がいた。うん、そうだ。学生にどうこう言う前に、自分がそういう「相手も自分も気持ちいいこと」をきちんとやろう。

数日前から読んでいる『戦略人事論』を読み進める。

戦後、日本が採用した人材マネジメントは、ハイコミットメント・モデル(人間重視=ソフトバージョンの戦略人事)。「社員のモチベーションとコミットメントを高めることで、組織パフォーマンスが向上する」という考え方。それを機能させるために必要なことは

1)組織と社員の良好な関係
2)外的満足
3)自由裁量

従って

A)高い雇用保証
B)社員同士の密コミュニケーション
C)高い教育投資
D)業績連動報酬(主に賞与)

が目的化する。日本はそうして、フォードに代表された科学的管理手法(職務の細分化と専門家、計画者と実行者の分離)に勝つ組織パフォーマンスを発揮し、80年代に「ジャパンアズNo1」と言われるまで上り詰めたのだ。

科学的管理手法は「社員はコスト」と位置付けた。
ハイコミットメント・モデルは「社員こそ競争力の源泉」と位置付けた。
この違いは決定的だったはずだ。

ふと、一部上場メーカーの人事担当者の言葉を思い出した。「入社してすぐに人事配属になって、最初に叩き込まれた考え方は『人事部のミッションは労務費の極小化』ということです」。

市場での激しい競争にさらされ、利益が出せず、雇用保障も規制でがんじがらめ。そんな日本は今、「社員はコスト」と位置付け、負けていった、過去の科学的管理手法に逆戻りしそうになっていないか。そんなことを不安に思った夜。

2010年11月29日月曜日

11/26夜~11/28 30歳の花嫁

11/26、金曜日。

仕事を早めに切り上げ、宇都宮へ。東京から新幹線に乗ろうと思っていたが、武蔵小杉から一本で行ける宇都宮線で行くことにした。乗り換えを考えるとかかる時間はほぼ変わらないし、グリーン席もたった950円で静か。お得。

土曜日に、大学時代の女友だちの結婚式が仙台で開かれる。

ということを知った、宇都宮に単身赴任・仙台自宅の知り合いから「俺、金曜夜に帰るから、宇都宮から一緒に車のってく?」とお誘いいただいたのだ。感謝。ふだんは酒ばっかり飲んでるが、2時間半の酒なしドライブ(って当たり前か)いろんな話ができて良かった。

「今晩どうすんの?一人で飯食うんだったら、うち寄ってけよ」

奥様の手料理とビールとウィスキー。

あー、ホッとするなぁ。

そういえば、ドラマ『官僚たちの夏』で、自宅に仕事メンバーが普通に出入りする様子が描かれていたが、こういう文化って今も結構あるのかな。私は年に1,2回、仕事関係者の家に泊まったり、泊めたりしている。酔って「うち来いよ!」と言われて突然行って、旦那ともども奥様に叱られたこともある。新しい下着が朝、用意されていたこともある。自宅に泊まると、なんだか「一線を越えた」関係になれる気がする。

「いいから泊まってけよ」と言われるが、今回はご遠慮して仙台駅へ戻る。国分町ではなく、ホテル側の東口のバーへ。

店長が若くてイケメンだった。女性客が多いのも頷ける。

「実は僕、今、大学休学してこのお店で働いてるんですよ」
「へー。学校どこ?」
「東北大です」

彼は「とりあえず今興味があることをやってみて」自分の人生をどうしていくのか、模索していた。「オーナーには言えないですけど、まだこの道で食べていくのか決めかねています」。いい青年だったな。また仙台に行ったら、彼に会いに行こう。

どうして君はそんなに都合がいいところにあるのかね、と声に出したいくらいナイスポジションにアイリッシュパブがあり、さらに寄ってしまう。こちらはスウェーデン人の店員さん。スウェーデンのこといろいろ教えてもらう。「うー、むこうの女性はね、うー、自己主張が強いんです。うー、だからね、うー、日本人と結婚しました。うー、でも日本人も、うー、結婚すると、うー、強いですね」ってのには笑ったな。

11/27、土曜日。

大学時代の女友だちの結婚式。

ダンナさんが素敵な人で良かった。
大学時代の痛い恋愛経験を知っていると、そういうことをしみじみ思う。あのダメ男との諸々は、こんな素敵なダンナさんと巡り合うための試練だったんだね。

ダンナさん、転勤が多い会社らしいのだが、転勤になったら彼女はついていくのだろうか。大学時代にダブルスクールして、卒業後、仙台でトリマーになった彼女は、そのとき、どうするのだろうか。

そういえば大学時代の女友だちはみんな、子どもいるんだな。
3人中、2人が子どもを連れてきていた。同じ学校に通い、バカ話をし、酒を飲み、就職して、それぞれの人生を歩んでいる。「なんかさー、私たち主婦もさー、年に1,2回はパーっとしたいわけよ。大学のみんなで定期的に集まらない?」そんな話になる。うん、こいつらとは一生付き合っていくんだろう。

2次会、3次会と順調にこなし(?)、最後はホテルで部屋飲み。
数年ぶりに古今東西ゲーム。2010年、30歳で古今東西ゲームって。ま、おもしろかったけど。気づいたら、初めて会った人も部屋にいたな。さらに気づいたら朝で、一人だったんだな。

あすか。
幸せになりますように。

2010年11月28日日曜日

大学づいている

11/26、金曜日。

某大学への提案書作成。主に低学年を対象とした、次年度のキャリアサポートセミナー。夏に提案し、一度ボツになった話なのだが「改めて提案してほしい」と言っていただいたのだ。

ゴールは「学生が『意思決定を積極的に積み重ねることで、充実した“自分づくり”の学生生活を送っていこう!』と思うこと」。

そのために必要な

・進路≒生き方の選択肢は多数あることの提示
・就職ばかりに目を向けて学生生活を送らなくてもいいんだ、という安心感の提供
・行動すること、体験すること、の重要性実感

をインタビューで生み出す。起業家、キャリア支援者、研究者、士業、NPO理事、会社員、多様な人たちに公開インタビューするシリーズ企画なのだ。うーん、実現させたいなぁ。ワクワクするなぁ。企画が通れば、4~6月は主にこの仕事になるんだなぁ(通らなかったら何をしているのだろう?)。

その後、大学キャリアセンターや先生にアポ取り。残念ながら、新たにアプローチしたかった大学からはアポもらえず。うん、早く先方から連絡がくるような存在になるしかない。

夕方、また別の大学から、グループディスカッションに関するセミナー依頼をいただく。感謝。こちらも私の講演ではなく、人事担当者を巻き込んだファシリテーション企画。いい流れがきている気がする。こういう時こそ、驕らず、足元を見て仕事をしよう。

早めに仕事を切り上げて、いざ仙台へ。

2010年11月25日木曜日

学生からの取材

11/25、木曜日。

お昼、早稲田大学より携帯に嬉しい連絡。
年明け、大学職員・教員、就職情報会社、採用担当者、メディア関係者など「新卒就職問題」に関わる方々向けにセミナーを開催予定なのだが(11月末までに正式リリース予定)、思いと狙いを伝えたところ、大学を会場として使わせていただけるとのこと。感謝。

御厚意で協力してくださる方々が多数。

成功させる。

午後、日本経済新聞社へ訪問。タイアップ企画に関して、2時間ブレスト。
打合せ最中に、社内メンバー同士が議論するあの感じ、私は好きだな。

夕方、学生3名からの取材。
ふだんは仕事柄、人の話を聞き出すわけだけど、たまにこうして自分が取材されると「へぇ。そんな風に自分では思ってたんだ」と整理できて良い時間になる。

・学生時代、企業から求められる「優秀人材」では決してなかった(社会人不適合系)
・暗い大学生だった。部活サークルには入らず、図書館にこもって学生運動のことを調べたりしていた。「たかだか3,40年前、自分と同じ歳だった彼らは、命を懸けてまで何をしたかったのか」が知りたかった。経済学部の運動家にスカウトされた(入っていない。危なかった)。
・女の子を口説くことに必死にもなったが、もてなかった。
・大人の話を斜に構えて聞いていた。キレイごと言う大人に対して、腹の底では「どうせ仕事だから聞こえのいいこと言ってるんだろ」と思っていた。
・就職イベントで、お目当ての企業に人が群がっていた。ふと隣に、一人きりでポツンと佇むおじさんがいて、いたたまれず「お話聞かせてください」と話を聞きに行った。会社PRではなく、社会人としてアドバイスをしてくれた。「いいビジネスマンになりたければ、ぜったい営業は経験しなさい」と言われた。
・大企業でもベンチャーでも何業界でも良かったが、だから、営業をやってみたかった。向いてるとは思わなかったし、友人からも「え、お前が営業なんてできるわけないじゃん」と言われた。
・営業マンとしては優秀ではなかった。平凡だった。
・「実力つけて3年で辞めて独立する」と思っていたが、社会は甘くなかった。自分のできなさを知り、愕然とした。
・小さい会社の良さは、苦しみも、喜びも、みんなで分かち合えること。一緒に泣ける。
・人生で大切にしている価値観は「おもしろさ」
・仕事は人との出会い、仕事との出会い、しんどさや苦しみ、日々いろいろある。だから仕事はおもしろい。
・大企業に入って「これで安泰」と思ってしまうのが一番のリスク。
・学生時代から「いつか起業したい」と思っていた。タイミングがきた。
・一人で仕事をすることの良さは、意思決定の早さと、自分の価値がストレートに理解できること。会社員をしていると「伊藤さんのおかげで」と仮に言われても、本当は会社の看板のおかげじゃないかとか、社長のおかげじゃないかとか、どうしても拭いきれない。
・会社員時代と今を比較したりはしない。終わったキャリアを振り返っても何も生まれない。
・成功するビジネスを生み出せるか、ではなく、思いを込めて立ち上げたビジネスを成功させる。諦めない。志ってそういうものかもしれない。
・日本の新卒就職の「ルーザーズゲーム」を変えたい。誰も得をしていない。
・キーになるのは「大学」。大学が本来あるべきの「オープンな場」になっていき、社会人と学生が当たり前のようにコミュニケーションがとれていて、学生が「仕事」を意識したときに社会人と話ができる。そんな「学生」と「仕事・企業・社会人」との接続のあり方を目指している。
・無理にいま「理想の生き方」から逆算して会社選び、仕事選び、自分の軸、を必要以上に考えることはない。
・恋愛したことない人が、理想の結婚生活を考えて、恋人選びに条件をたくさんつけている、というのと同じように感じてしまう。
・企業も仕事も、極端に言えばどこでも大差ない。大切なのは、縁あって一緒に働くことになった目の前のメンバーと、目の前の仕事を一生懸命やること。必死にやっているうちに次が開ける。振り返ると自分史ができている。それがキャリア。
・仕事をしてから私は「理想の生き方」を考え、仕事をしてから「やりたい仕事」が見つかった。
・直観を大切に。20年の歴史があっての直観だから、直観は侮れない。
・ご縁を大切に。

そんな話をする。

がんばって自分の人生を自分で切り拓いていってほしい。

「それが正解か分からない」と言い合えるか

11/24、水曜日。

午前中『戦略人事論』(須田敏子著/日本経済新聞社)読み込み。新卒就活問題に取り組むにあたり、私に足りないのは、大所高所の視点。資本主義と経済システムと経営戦略と人材マネジメントシステムの理解。だからまずは人材マネジメントシステムをアカデミックに理解するために……と思って購入したものの、まえがきと序章と1章を理解するのに3時間かかる。「企業の人材マネジメントに影響を与える同質性圧力・異質性圧力からみた包括的戦略人事フレームワーク」(まえがきより抜粋)を提案している本なのだ。…うん、負けないぞ。

「ある組み合わせがナッシュ均衡になっているときには、各プレーヤーの選択した戦略が他者の戦略に対する最適な反応となっており、各プレーヤーはそれぞれの利益を最大化しているため、誰もその状態から逸脱する誘因を持たない(略)いったんナッシュ均衡が成り立つと、その均衡状態は必ずしも効率的であるとは限らないものの、制度として定着し、安定しやすい(略)それぞれの国は特定の経済制度を持つため、ひとつの国の中では企業や個人の戦略や行動が類似する」(P73より)

新卒就職採用の学生と企業もこれに当てはまるんだろうな。学問的に言えば。

午後、お問い合わせいただいた企業の採用リーダーへ訪問。200名採用。早くも説明会兼一次選考が始まっていた。何かしらか仕事で関われるといいな。

夕方、早稲田大学へ訪問。着々と今後の諸々について進める。いい流れがきている予感。

夜、先週金曜も一緒だった、Aさんと飲む。

現在、宇都宮に単身赴任中なのだが、今日は東京出張とのことで、新幹線の終電まであれやこれや。子育てに関する深刻なトラブルがあり、ひと通り話を聞くも、Aさんのとった行動が正解なのか分からない。本人もまだ消化しきれていない。大人としての振る舞いは「正しいですよ!」なのだろうけど、友人としては「分からない」としか言ってあげられない。いつかうちにも子どもができて、トラブルがあり、私が行動し、でも自分でその行動が正しかったか不安で仕方がないとき、Aさんは同じように「俺も分からない」と言ってくれるのだろうか。

悶々として、地元のバーへ。

フリーのTVディレクターと久しぶりに遭遇。マスター含めて独立組3人で、妻に仕事の話をどこまでするのかで盛り上がる。お二人は「家に一定額を毎月入れて、仕事の話は一切しない」だった。私と違うんだな。

深夜帰宅。

2010年11月23日火曜日

東京大学シンポジウムで改めて考えた、新卒就職問題

11/22、月曜日。

東京大学で行われたシンポジウムに参加。

テーマ「大学教育と職業との接続を考える ~第1回『大学生の就職をめぐる諸問題と当面の打開策』」(主催/日本学術会議、朝日新聞社、東京大学)

南北線「東大前」駅で降りたのだが、安田講堂まで結構、距離があったなぁ。途中でふと不安になって、通りすがりの学生に道を尋ねたら、懇切丁寧に教えてくれた。東大生の印象アップ。そういうもんよね、単純だけど。

開始前に、普段からお世話になっている大学関係者に遭遇。終了後にも別の大学関係者と遭遇。3~400名くらいの入りだった気がするけど、大学関係者が多かったのかな。

プログラムは

・日本学術会議・上智学院理事長、高祖氏の基調講演
・経済評論家、勝間氏の講演
・内閣総理大臣補佐官、寺田氏の講演
・パネルディスカッション

計4時間の長丁場だったが、あっという間だった。

初めて「ナマ勝間さん」を見たのだが、美人オーラが出ていて素敵だった。と twitter でも書いたらすぐにご本人から返信。マメな人なんだな。好感。こんど本読んでみよう。

内容に関しては、勝間さんの歯切れがよく、現場感も理解していて、提言も膝を打つもので、勉強になった。「新卒一括採用から離れることは、ハイリスク・ローリターン」「新卒一括採用は、ローリスク・ミドルリターン」「(人事担当者の本音)企業風土を乱す人は入って欲しくない」「リスクはあっても、学生・人事担当者ともにレールから外れてみる」「どちらもインターンや通年採用を進める」「海外で学ぶのがオプションとして手っ取り早い」「人材にノウハウを貯めることにより、企業が差別化することと合致する」(すべて配布資料より)

シンポジウムを通して、改めて自分が考える「新卒就職」の課題を整理してみた。

1)ムダ活(企業・学生とも「ムダ」な活動をせざるを得ない)

特に学歴問題。企業は、本当は「MARCH以上」などの“実質的な”学歴基準があっても、公表できない。ステークホルダー(特に顧客)への影響を考えるから。営業マンが営業先に「オタクって、早慶ばっかりなんでしょ?」なんて嫌味を言われたら、たまらない。従って「大企業・人気企業への応募集中」により、ムダな活動がお互いに発生する。通るはずがないエントリーシートを学生が必死に徹夜で書く現状は変えなければならない。一方、「実質的な学歴基準はあれど、本当に優秀な人材なら、採用しないこともない」という企業の現実もある。

⇒提案
A)実質的な共通一次(選考)の実施→GPAの普及と連動
B)学生が客観的に自分の立ち位置(レベル)を理解する機会を増やす(セルフスクリーニング)→インターンの拡大
C)企業の「求める人材像」の階層別明示→「主体性」「コミュニケーション能力」の禁止(共通して求められる力はキャリア教育で伝えきる)

2)学生の志向と能力

連綿と続いてきた日本の人材マネジメントと、それによって受けられてきた恩恵を考えれば「大企業に正社員として就職することが、安泰人生キップ」であると学生が思い、大企業に集中する気持ちは理解できる。けれど、それは高度成長を続けた日本の過去の話。安泰を求めて入社希望する人材を企業は必要としていないし(もしろすごいリスク)、正社員解雇(の法制の見直し)も直にやってくると私は思っている。同時に、就職採用もグローバル化が進み続けるなかで「中国人のほうが能力もモチベーションも日本人学生の比じゃない」と多くの採用担当者が思っている。グローバルにまで話をひろげずとも「厳選採用」で「予定数未達」のまま採用を終える企業が多いことを考えれば「企業が求めるレベルの学生がいない」ことは、現実として見なければならない。

⇒提案
D)「仕事(職種)」を知る・学ぶ機会の増加(「仕事(職種)」軸による中小企業への入社意欲の動機づけ)→大学内セミナー、インターンシップ、行政予算付けのWEB
E)自分の志向と能力を知るための、高校~大学期間における短期留学の促進(あるいは予算付けて義務化)

3)ルーザーズゲーム(就活関係者が誰も得をしない構造問題)

今回のシンポジウムでも感じたことだが、アカデミックキャリアの方々と、企業の方々では、会話がかみ合わないことが多い。ここに就職情報会社が絡んでくれば、なおさらだろう。私は企業出身なので、企業の方々の言い分に「そりゃそうだ」と思うことが多かったが、アカデミックの方々は、本当にうまく理解できないのだと思う。けれど、就職問題に関して真剣に取り組んでいる人たちは、会えば、皆、いい人で、状況を改善したいと心から思っている。

⇒提案
F)今回のような、影響力あるシンポジウムの開催(対話と議論)
G)大学、企業、就職採用支援ビジネス関係者、らの先進的取り組みの共有

・・・・・・・

日本特有の「新卒」就職・採用を語るには、経済全体の潮流と、企業の経営戦略の変化、伴って引き起こされる人材マネジメントの変容まで押さえておかないと、本質にまでは辿りつけないとも改めて思った。

単純な話だが、大企業が変わればかなりのことが変わる。

その大企業には、これまでの人材マネジメントによる、「正社員一人ひとりの雇用を守る」重責がある。でも近い将来、人材マネジメントに痛みを伴う「決断」をし、変えなければ企業として立ちいかなくなる日がくる。

私はまずは、大学と組み、企業と組み、「仕事(職種)」を学生が理解するためのファシリテーションを実施していこう。

2010年11月22日月曜日

社会人になってからの友だち

11/19、金曜日。

「学生向け社会人力養成ゼミ」の企画を悶々と考えるがまとまらず。しっくりこない。

起業前には

1)学内キャリアガイダンスの企画ファシリテーション
2)企業説明会(セミナー)企画ファシリテーション
3)就職採用支援、社会人基礎力向上に関する各種事業
4)学生向け社会人力養成ゼミ

の4つを柱としていく旨を事業企画書にまとめた。

1)に関しては、母校の横浜国立大学や、立教大学で実施中。追加で他の大学からもご依頼を頂けそうだし、「次年度、前向きに検討します」という大学も複数できた。
2)に関しては、2社・計28回の会社説明会にファシリテーターとして関わることが決まっている。
3)に関しては、某社の就職イベント(合同企業説明会)の司会を務めさせていただいている。
4)だけが、まったく動いていないのだ。

前職、いわゆる就職情報会社員時代に、学生向け就職支援の企画・実施(セミナーや個別相談)していて感じていたことは、行動・成果まで変化をもたらすことの難しさだった。

「学生がすごく理解してくれた!」と思って(運営者側は気持ち良くなったとして)も、行動にうつされ、習慣化され、成果をあげるところまでいく学生は、残念ながら少ない。

それは、セミナーというある種、非日常における「一瞬」の限界だと思うのだ。

学生は多くの時間を、学校で過ごし、アルバイトをし、サークルや部活に行く。
師と呼べる先生に出会ったり、「自分で考える」ことを時間をかけて習得したり、社員の仕事に対する責任感と充実感を知ったり、仲間と分かり合えることの難しさを実感したりしながら、成長する。恋もする。そういう日常があるなかで「就活」としての「一瞬」のセミナーは、ともすると、「ためになった」「おもしろかった」という“感想”で終わってしまう。それが、就活と就職後の社会人生活にも役立つ、本当の意味の「力」にまで結びつくことをやりたくて、切り口は「学生の成長を応援する大人を巻き込んだ」「ゼミ」だったのだ。が、まとまらない。「内定を売りにした塾から始めてもいいんじゃない?」と妥協しそうになるが、コンセプトがずれたまま走り始めた企画が、いい地点に落ち着いたことがない。

悶々としたまま、留保。日にちを変え、場所を変え、使うフレームを変え、また週明けに考えてみよう。

夜は、結婚祝い飲み会。

社会人3年目くらいのときに立ち上げた、異業種交流会(?)のメンバーの一人が再婚することになり、そのお祝いだったのだ。

私がほぼ毎日飲み会、という日々のなかで「朝まで2人で語り明かしたい、という30代だけを集めた飲み会」を企画し、以来、ずっと定期的に飲んでいる。全員年上。全員、顧客やパートナーなど仕事関係者からの関係スタート。いつの間にか、10名くらいが固定メンバーになった。毎年、春には泊まりの温泉旅行に行く。毎年、忘年会は歌舞伎町のスナックで朝まで歌い尽くす。「飲んでるだけじゃバカみたい」ということで、隔月で勉強会も行うようになった。私の結婚式のとき、「友人」として招待させて頂き、皆さんが金八先生の出し物までしてくれた。転職した人もいる。起業した人もいる。よく叱られもした。40代が増え「内部統制室室長」とか「選抜研修担当者」とか、要職にもどんどん就いている。そんなメンバーの一人の、再婚祝い。一生付き合っていく「友だち」の祝いごと。心から祝福。

飲んだなぁ。どうして2次会で切り上げられないんだろうなぁ。
気づくと、銀座で唯一、一人で定期的にお邪魔するバーで、知らない人たちと盛り上がっていた。夜が明けていた。

2010年11月19日金曜日

ぶどう酒

11/18、木曜日。

移動中に『大学破綻-合併、身売り、倒産の内幕』(諸星裕著・角川oneテーマ21)を読む。研究機関としての大学から、多くの大学は現状に即した、教育機関としての大学へ、という論に賛成。講義がつまらない先生(教員)って、「教える」ことを「習って」いないから、という理由も大きいだろうけど「自分のミッションは研究である!」と心底思っているからなんだろう。そうではない先生たちと最近お会いしているからこそ歯がゆい。

GPA、学部横断履修、教授会、職員のプロ化……新卒就職問題における、構造上の「正のスパイラル」転換の起点は「企業」だと考えているが、大学経営が変わると、自然と日本における新卒就職採用のあり方も変わってくるのだろうな。

いずれにせよ「採用選考では測りづらい、長期的なモチベーションや嗜好・志向・能力」を先生方が把握していて、企業(採用担当者)とも密につながっている、という状態をつくれれば、ミスマッチ減に貢献すると思う。その動きも出始めている気配があるし、全体的に「企業-ナビ-学生」から「企業-大学-学生」にシフト(回帰)し始めている今、「企業-ゼミ-学生」にさらにシフトする予感。

なんてことを考えていたら、あっという間に新座着。立教大学『仕事研究セミナー ~知られざるNo1企業の仕事~』新座キャンパス回。

学生アンケートは、満足度も高いし(計6回・延べ1,000名超の参加学生で、無記名式アンケートの満足度「不満」「たいへん不満」は0)自由記述を読んでも、視野拡大、仕事理解、就活へのモチベーションアップなどに貢献していることが分かって嬉しいのだが、どうして前から座らないんだろう。あくまで就活は「自分ごと」。損するよ。(池袋キャンパスはビシッと前から詰めて座る)

ボジョレー買って帰り、自宅で飲む。

そう言えばもう5年以上前、メルシャンのワイナリーへお泊りツアーに行った際(メルシャンの方に連れていって頂いた)、夜、ご好意で顔を出してくださった工場長が「昔はね、ぶどう酒って言って、このあたりでは食卓に普通に出ていて、みんなで楽しく飲むお酒だったんですよ。かっこつけて飲むんじゃなくて」と温かい目で話していた。それ以来、ワインも結構飲むようになったんだ。

次の日、朝5時から夜8時まで飲み続けた。宿泊先→ワイナリー→貸切バス→品川駅近辺の芝生→居酒屋。お酒好きの人事担当者たちと一緒に延々と。よく生きてたな。

明日はその時にもお世話になった方の、結婚祝い飲み会。パーティーではなく飲み会。楽しみ。

2010年11月17日水曜日

つながり

11/17、水曜日。

お昼、ジョブウェブ佐藤社長と打合せ。年明け開催の企みを着々と進行させる。佐藤社長をはじめ、複数の方が善意で動いてくださっているので、何とか実現&出演者全員&参加者全員が「参加して良かった」に着地させるのだ。

いろいろお話をしていて「つながり」の大切さを実感。就職・採用という同じ領域で10年仕事をしていると、共通で知っている方がどんどん増えて、みんなつながっているなぁと思うことが増えた。

つながりと言えば、佐藤社長から聞いた、twitter でつながった高校生の話に驚愕。すごい高校生たちがいるんだな。「優秀な高校生」から「大学」が入学前に見限られる(「大学」での学びのタイミングを自己決定する)という現実が、既に始まっている。その判断をするためには「大学生」や「大学を卒業した人たち(社会人)」との「つながり」による情報収集が必要なのだが、それを web が可能にしている。web を起点に、動ける人は高校生でも、動く。

溜めてしまっていたメール返信や、アポイント依頼や諸々、あっという間に夕方になり、夜になる。

高校の同級生、大学の友人、前職の元メンバーから、珍しくケータイメールがくる。特に前職の元メンバーからは「新卒に関するこういうシンポジウムがあるらしいですよ」というお知らせ善意メール。

みんなつながってるな。
反省の多い1日だったので、なんだかホロリとしそうになる。

明日も気合入れて働こう。

誇りと尊重

11/16、火曜日。

午前中、起業時からお世話になっている税理士さんを訪問。税理士、特定社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士、CFP…ご自身のtwitter自己紹介欄でも「難関資格オタク」「仕事が唯一の趣味」と書いているが、頭が抜群にキレて、人間味があって、ビジネスアイデアをたくさん出してくれる、ありがたい存在。現状報告と今後のご相談、アイデアブレストにお付き合いいただく。感謝。

そしてこの方自身の今後のビジネス案も聞き、なるほどうまいこと考えるなぁと感嘆。

1)ビジネスアイデアは、ジェームス・W・ヤングが名著『アイデアのつくり方』で書いた通り、既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない
2)優れたビジネスは、アイデアをブラッシュアップさせ、関係者全員がハッピーになり、利益が継続してあがるモデルである

という2点を再確認。

喫茶店にこもってセミナーアンケート集計。
立教大学『仕事研究セミナー』は学年不問で行っているが(「仕事の実態を理解する」ことに早い遅いは関係ないから。「仕事」を意識したとき、「知ることができる場」がある状態に意味がある。そして授業の妨げにならぬよう夜開催、念のため)毎回、1,2年生が20~30名も参加してくれる。自由記述も、1,2年生がかなり熱っぽい、長いコメントを書いてくれる。

本屋に立ち寄り、企画に関するビジネス本を購入。
この類の本、社会人初期は読んだだけで仕事ができる気になり、しばらくすると、結局自分で考えて実行しないと意味ないじゃんと思い、最近は、いやそれは違うでしょ、うんうん、それは同意見、と対話のために定期的に一定量を読んでいる。

池袋へ移動。立教大学『仕事研究セミナー ~知られざるNo1企業の仕事~』を開催。“No1”がある、成長企業やBtoB企業など4社への公開インタビュー。学生満足度はとても高かった。

終了後、何人かが質問にくる。毎回同じで「どうすれば伊藤さんのような質問ができますか?」。キャリアセンターの方からも「質問ができるようになる、社会人から話を引き出す、という趣旨のセミナーをやったらたくさん集まるでしょうね」と言っていただく。考えてみようかな。

参加企業の皆さんと懇親会。紹介してもらった居酒屋で、魚が美味しかった。

自社、社員、仕事に誇りをもち、ゆえに他社(者)を尊重する、という価値観をきちんともって懸命に仕事をしている方と深くコミットし、同じ目標達成に向かって走る。

改めて心に刻み込む。

24時くらいに戻ってきたのだが、同じ電車で帰ってきた方が「伊藤さん、僕もここで降りるので、もう1軒付き合ってください」と言われ、地元のお店に行く。いつも通り、無礼なことをたくさん言ってしまったな。結構、深い時間に帰宅。

2010年11月15日月曜日

夜討ち朝駆け

11/15、月曜日。

午前中、立教大学セミナーのアンケート集計。「SE職」「営業職」の回の自由記述を打ち込んでいたのだが、「SE」って「理系が就く仕事」「プログラミングをする仕事」のイメージが強いんだね、学生にとって。「コミュニケーション力が求められる仕事ということに驚きました」の声が多かった。「営業」の回は、前回の池袋キャンパス開催時と同様「話す力よりも、聞く力が大切だというのが意外でした」が多数。そういえば、セミナーである方が「聞く、の次は、聞く。そしてその次は、訊く」と話していた。なるほど。

アンケートをまとめながら、改めて「学生」と「仕事」の距離を近づけることに意味があると実感。

夕方、日本経済新聞社の某編集部デスクと打合せ。ご相談を数点。「良ければ、打合せした後にご飯行きましょう」と言って頂いていたので、オススメのカレー屋さんへ行く。美味しい。

大学内セミナー終了後に「OBOG訪問でどうすればうまく質問ができますか?」と聞きに来る学生が多くいるのだが、やっぱり「自分が素直に聞きたいことを聞く」のが一番だと思う。今日も楽しくデスクに話を聞いていたのだが

・本紙(日経新聞)から現在の編集部(週間発行)に異動して働き方は変わったか
・夜討ち朝駆けって今でもあるのか
・新聞社の編集部って、骨太い男の職場、みたいなイメージがあるが実際はどうか
・怒鳴ると若手は辞めちゃうのか
・購読者数と広告数の推移はいかがなものか
・優秀な新聞記者とそうでない記者の差は何か
・最近はお休みの日は何しているのか

そんなことを聞いていた。ぜんぶ「自分が聞きたいこと」であり、その元は、相手と、相手の仕事に対する好奇心なんだろうなと思う。自分よりも一回り年上で、違う時代を過ごし、違う仕事に励み、違う価値観をもっていて、違う人生を歩んでいる相手への好奇心。私は私の人生しか歩むことができないから、人の人生を聞くのが楽しい。その中心を占める、仕事の話を。

「サービスタイム18:00~20:00、ビールは何杯飲んでも1杯100円」というステキなお店だったので、調子に乗って飲んでしまった。地元の駅に帰ってきてから、数々の誘惑にかられながらも「まだ月曜日!今週は飲み会たくさんあるから!」と自分に言い聞かせて、まっすぐ帰宅。

2010年11月13日土曜日

立教大と法政大と

11/8、月曜日。

会社説明会のファシリテーションをさせていただく某社と打合せ。

「学生」と「仕事・企業・社会人」を「ファシリテーション」を通じて近づける、と自分の仕事領域を設定して動いている起業1年目なのだが、横浜国大や立教大学のように、大学さんと組んで学内セミナー(社会人パネルディスカッション)をやるほか、企業の単独説明会におけるファシリテーションもやらせて頂いている。学生が知りたい「仕事や企業のホントのとこ」を私が「社員インタビュー」を通じて引き出し、学生に理解してもらう仕事なのだ。「上辺のいいところだけでなく、学生に誠実に向き合う」会社だからこそ、私のような「ぶっちゃけたところ、教えてください」スタンスのファシリテーションにニーズがある。今のところ、今年は2社計24回の説明会に関わる予定。

11/9、火曜日。

昨年、日経産業新聞に新卒採用に関するコラムを連載した際にもお世話になった、日本経済新聞社の某デスクに連絡。退職時にも「落ち着いたら食事行きましょう」と言っていただいていたのだが、先方もお忙しいので、連絡をするタイミングを逸していた。ちょっと、ご相談したいことがあり、携帯に連絡すると「では来週、夕方打合せして、良ければそのままご飯行きましょう」と嬉しいお誘い。感謝。

そういえば、新聞連載の際に感動したのが、この方の文章力。
メールを送って数分後には、赤入れして、数段分かりやくなった文章がFAXで返ってくる。新聞記者を新聞記者たらしめる能力は多数あるのだろうが「分かりやすい文章を早く書く」ことは必須なんだろうな。ちなみにこの方とは、何度か晩ご飯を食べに行ったことがあるが、お酒を飲まない。聞くと、私と食事をしてからも社に戻って、終電までか、日によっては1時、2時まで、朝刊の仕事をするそうだ。何気なく手にしている朝刊も、多数の方々の「作品」なのだ。

夜は立教大学『仕事研究セミナー』。テーマは「営業職の意気と苦悩」。営業出身、現・採用担当4名の方によるパネルディスカッション。具体的な仕事内容、大変さと喜び、営業職に必要な力、ノルマ(って言葉を使う会社はほぼないけど。数字目標のこと)、接待、そんな、学生が気になることを誠実に話して頂く。アンケートでは「営業は大変、というイメージは変わりません。でも、大変だからこそやりがいがある、ということがわかりました」という声多数。分かってくれて良かった。

ちと、反省することがあり、帰りに地元バーへ立ち寄り。
久しぶりにお会いした、グローバルメーカーの総務部長と、マスターと、男3人でまったり。

11/10、水曜日。

外出無。ほぼ1日、前日のアンケート集計。アンケート提出者、326名が書いてくれた一言一句を、すべて出演企業と大学にフィードバック。満足度は高くて嬉しいが、残念なコメントも数件。その矛先が出演企業に向いていて悩んだが、原文のまま記載。私ができること、すべきことは、ネガティブな声を「なかったこと」にするのではなく、「正しく出演企業に届けること」。次回に向けた改善を考える。

11/11、木曜日。

法政大学キャリアデザイン学部の某ゼミ見学。先日、あるシンポジウムでこの先生の話を聞き、感銘し、初対面で不躾ながらその場でゼミの見学依頼をしたところ、許可をいただいたのだ。それにしても、1年生って元気だね。特に女子。彼女たちを見ていると、無敵なんじゃないかとすら思う。

見学後、先生の部屋で、教員が学生にすべきこととか、日本の新卒採用に対する率直な意見とか、現場への実影響とか、人材ビジネスとか、いろいろ情報交換。先生は「採用で勉強の邪魔をしないでほしい」と思いながらも、ゼミ生のために、就活シーズン中はゼミのカリキュラムをストップし、就活対策に充てているらしい。真剣に学生と向き合っている教員の方の“思い”を初めてじっくり聞き、貴重だった。学生一人ひとりと向き合う、このような先生が多く生まれ、「大学教員、職員による学生評価」と「企業の採用選考時の学生評価」の接続を密接にしていくことに、「誰も得をしない」現在の新卒採用システムの未来がある気がしてならない。

あっという間に時間が過ぎ、昼ご飯を食べ逃す。

立教大学へ移動し、『仕事研究セミナー』。この日のテーマ「SE職の意気と苦悩」。出演者の話を聞いて、SE職に求められる力、仕事の実態が「コミュニケーション」であることに驚いた学生が多くいた様子。文系もOK、って話にも。仕事の実態を知るのは大切。だからこそ、営業志望の学生にももっと来てほしかったな。

11/12、金曜日。

立教大学『仕事研究セミナー』。この日は新座キャンパス。テーマは「営業職の意気と苦悩」。営業職に必要な力を質問したところ「聞く、聴く、そして、訊く」との答えがあったのが印象的。営業マン教育も勤めていたこの方のお話が大好きだ。「倒れる時は前向きに!顔から落ちろ!」と教えてくれた方の、師匠でもあるのだ。

セミナー終了後、学生数人から質問を受ける。「いま、私が知らない優良企業の見つけ方を教えてください」と聞かれたので、1.来週のこのセミナーに参加する(テーマ「知られざるNo1企業の仕事」) 2.企業HPの「主要取引先」を辿っていく 3.合説や学説で人がいないブースばかり巡る、とアドバイス。それにしてもしっかりしてる学生だったな。

アルバイト学生と最終のスクールバスにのり、池袋までいろいろ話す。がんばれ、恋。

帰りに、記録としても残るから、日記としてブログを書いてみようかな、と思う。

2010年10月14日木曜日

就職ガイダンス講演 テーマ『自分就活』

テーマ『自分就活』

1.就活はあなたのもの

a.就活はあなたのもの。マナーはあるがルールはない。やり方に正解はない。

b.ケース
・3日で4人の社長と会い、3社から内定して1週間で就活を終了した、関西の人気就職コンサルタント。
・学生結婚。憧れのマスコミ就職を4年生の年明けに諦め、3月に内定した人気キャリアコンサルタント。
・100人の社会人訪問をしたA君の作戦は「OB訪問したら、イケてる社会人を毎回紹介してもらう」。丁寧な手書きのお礼状。内定後も継続して社会人訪問。
・居酒屋で突撃社会人訪問をしていたB君。ポイントは「見た目よりも、ちょっと上の役職名で話しかけること」。
・リクナビが有料だと思い込み、登録していなかったC君は部活の先輩ルートで就活。今や、食品会社の若手の営業エース。
・30歳、博士課程修了者D君の就活。過去の研究との別れを覚悟し、今、22歳と一生懸命働いている。

c.私の就活
・電車で見る、死んだ目のスーツ姿の人たちを見て「こうはなるまい」
・就活前に、バックパックという名の中国逃亡
・ダメ就活生。イベント抜けだし、出会ったメンバーと飲み会へ。5名の会社に拾っていただいた。

2.就活

a.就活環境
・法人は200万社以上、就職ナビ掲載2万社、知っているのは100~300社。
・就活生45万人、大手企業の採用枠は3~7万人。
・人気企業は5万人が応募。
・就職難はバランスの問題。求人はある。
・学歴差別、女子差別。就職ナビ掲載の採用実績校よりも、キャリアセンタ―で就職実績を確認する。

b.就活は成長するきっかけだらけ
・異質との出合いに巻き込まれていこう。
・学生特権「叱られる」。転び方を学ぶ。擦り傷が皮膚を強くする。

c.就活関係者の活用法
・就活仲間をつくる。情報共有と生き方議論。孤立とWEBだけ就活の非生産性。
・キャリアセンタ―は、採用担当者と数多く会っている。掛け値なしに皆さんの支援が第一義。
・親、兄弟、バイト先の社員など身近な人が「誰とどのような仕事をしているのか」を把握する。
・先生は人生の先輩。大学教授という仕事を理解してみる。顧客は誰か、目標はあるか。
・内定者の話はあくまで参考程度に。「○○を言ったら(書いたら)採用される」方程式はない。
・就職ナビと就職イベントは広告。企業にとっての自己PR。自己PRのコツを学ぶ。メインナビに加え、自分のお気に入りナビを見つける。
・就職イベント、ぽつんと佇む誰もいない企業が実は優良企業なんてことも。熱心に自分のために時間を割いてくれる。
・みん就、2ch など、無記名情報に振り回されない。
・twitter で採用担当者の人となりが見えることがある。

3.仕事

a.PDC(A)と社会人基礎力
・新人研修で必ず教わるPDC(A)サイクルを就活中に実践する。根っこにある「就活の目的」を履き違えない。ウソついて入社すると、その後しんどい。
・自分の社会人基礎力を定点観測し、アルバイト先や親からの評価ももらってみる。

b.企業が採用するのは仕事ができる人
・面接が上手い人ではなく、仕事ができる人。厳密には、仕事が「できそう」な人。中途:実績、新卒:可能性。
・仕事の成果=能力×やる気。能力は伸ばせる。やる気は風土と相性。
・面接官は、過去の事実で能力の伸びしろをはかり、面接の受け答えでやる気の継続性を推測する。
・あなたの経験は、あなたしか経験していないこと。特に何もやっていなかった、と自信をなくす必要はない。
・求める人物像「コミュニケーション能力」ばかりが目立つのは、仕事の多くがコミュニケーションで成り立つから。コミュニケーションとは、論理と気持ちのキャッチボール。

4.企業

a.企業とは
・企業の第一義は「顧客の課題解決で利益を生みだす」
・納税し、国を通じて医療や教育へ再分配。利益こそ社会貢献。
・利益を増やすには、売上あげるかコストを下げる、の2通りしかない。志望職種はどちらに寄与する仕事か。
・「誰に、何を、どのように」提供して利益をあげているのか=ビジネスモデル

b.志望企業の取引先が言えますか?
・企業と企業の「繋がり」を知る。業界マップではなく、企業つながりマップをつくり、志望企業まで辿りついてみる。寄り道万歳。
・業界内同士はライバル。取引先、仕入先は入社後に直接関わる人たち。知っておいて損はない。

c.個人と企業
・安定は、企業が与えてくれるものではなく、自分でつくるもの。安定のために必要なのは挑戦という矛盾。
・企業選びは買い物じゃない。あなたのために会社があるのではなく、顧客のために会社はある。あなたのためだけに会社があるわけではないが、会社のためだけにあなたも生きるわけではない。
・理念、ビジョンを共有してこそ、一生懸命働ける。

5.扉は開く

a.努力と成果が相関しない
・「頑張っても報われないことがある」それを知り、経験することは、強くなるための通り道。強さとは他人への優しさ、温かさ。
・就活=恋愛論の所以。恋愛充実者は就活に困らないという仮説。終わったことは忘れて次にいくしかない。
・人生で初めて、短期間に「落とされ続ける」そして「理由がわからない」というストレス体験。息抜き上手になる。

b.キャリアは他人のためのもの
・自分だけの幸せは小さいもの。誰かに貢献することが幸せ。
・キャリアは振り返ればできている。目の前のことを一生懸命やるだけ。人生の転機におこなうのはキャリアチェンジであり、アップもダウンもない。
・活躍人材こそ、成果の見えづらい雪かきのような仕事をしている。履歴書には書かれない「手伝いましょうか?」を言える人に仕事が集まる。キャリアが生まれる。

c.扉は開く
・覚悟がすべて。自分で考え、行動し、決める。決めた道を自分で正解にする。
・諦めなければ、扉は開く。

6.推薦本
・『くたばれ!就職氷河期』(常見陽平氏。光文社新書)
・『就活革命』(辻太一朗氏。NHK出版生活新書)
・『<就活>廃止論』(佐藤孝治氏。PHP新書)
・『就活のバカヤロー』(石渡嶺司氏・大沢仁氏。光文社新書)
・『街場のメディア論』(第一講「キャリアは他人のためのもの」)(内田樹氏。光文社新書)
・『できる会社の社是・社訓』(千野信浩氏。新潮新書)
・『腐った翼 JAL消滅への60年』(森功氏。幻冬舎)などビジネスノンフィクション
・『知らないと恥をかく世界の大問題』(池上彰氏。角川新書)
・『父の詫び状』(向田邦子氏)など、きれいな文体の随筆、エッセイ

2010年10月1日金曜日

「リクナビ7つの約束」に思うこと

リクナビが「7つの約束」を発表した。

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●約束1.入社後の活躍を期待できる出会いを創造します。
取り組み内容:リクナビスコア

●約束2.若い人たちが働く機会の拡大、ミスマッチの解消に努めます。
取り組み内容:DREAM-MATCH PROJECT、リクナビNEXT求人紹介

●約束3.学業と両立できる就職活動を実現します。
取り組み内容:イベントの土日祝日開催

●約束4.就職活動にかかる学生の負担を軽減します。
取り組み内容:R-Webinar、就職イベントUstream配信、じゃらん提携、Amazon提携

●約束5.将来を考える学生に、オープンな機会を提供します。
取り組み内容:就職ジャーナル、バーチャル講座キャリアの学校

●約束6.産業界が求める人材像を明らかにし、学生、大学に発信します。
取り組み内容:「求める人材」画面、先輩情報画面、キャリアの学校大学版

●約束7.国を越えた就職・採用活動を促進します。
取り組み内容:中国ハイポテンシャル新卒採用サービス『啓程日本(ケイテイニホン)/Work in Japan』、リクナビ外国人留学生特集

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twitter やブログで目にする限り、今のところ批判先行の様子だが、私の思うことをまとめてみる。

まず、リクナビが約束を宣言したこと、そのことを私は支持する。
宣言したこと自体に意味があると思うからだ。
その意味とは「最大多数の最大幸福を生みだす、日本の就職・採用の仕組みを築いていくうえで、決して無視することができない“リクナビ”のことを皆が論じられる状況になった」こと。ひと言でいえば“リクナビが見えた”のだ。そのビジョンが、その手段が。

私は就職・採用支援会社に8年間勤め、この7月に自分で会社を立ち上げたが、企業の採用担当者・大学職員・キャリアコンサルタント・同業社(採用支援会社)から、しばしばリクナビ批判を耳にすることがあった(そういえば、学生からはほぼ聞いたことがなかった。不満があれば使わなければいいんだもんね)。

私が直接聞いたことがあるリクナビ批判は大体4パターン。

1)リクルートの営業担当者の態度・対応が悪い、または、担当替えが早すぎることに対して「そもそもリクナビは…」という拡大批判
2)商売手法への批判(主に、企業による実勢販売価格差。4,5年前までは「殿様商売」と多くの人が言っていた)
3)元リクの人たちの私的感情による批判(なぜか“愛憎”そして“期待”が入り混じっている人が多い。古巣の悪口を言うって、一般的にはあり得ないことだと思うと、懐が広いのか、熱い人が多いのか。リクルートがリクルートである所以がここに表れている気がする)
4)業界トップなんだからそのやり方は…という業界内からの批判(その時点でビジネスとして負け腰)

直接ではないところだと

5)就職・採用問題の元凶と勝手に思われる、お門違いの批判

というのもある。

「日本最大級の、就職希望者DB・求人DBを保有する、リクナビの就職支援・採用支援ビジネスのあり方」については、実はあまり話題になることはなかったのではないだろうか。せいぜい「エントリーマシンとしての機能って、もう、先がないよね」ということに、リクナビ内外が気付いていながらも、その「次の一手」を誰も生み出せないまま、98年のオープンから12年間が過ぎてきたのではないだろうか。

そして「次の一手」はリクナビをはじめ、就職・採用支援会社各社が単独でつくれるものではなく、大学、官公庁、キャリアコンサルタントらの「より良い就職・採用の仕組みを創る」ことに真剣な人たちが、オープンに議論し、新たな「関係性」を構築することで生まれてくると思うのだ。だからこの「宣言」には意味がある。

そのうえで、私が「7つの約束」の内容について思うこと。

まず、中小企業と未就職者のマッチングや、地方学生の負担問題、海外人材や留学生の就職採用支援も積極的に取り組むという、「ほぼ全方位」をカバーしようとすることの背景には、業界トップとしての責任感もあると信じたい。これほどしんどい景況感のなかで「民間企業ですから、利益重視で○○はやめることにしました」と開き直らなかったことを好意的に受け止めてみようと思う。

一方、取り組み内容については、もっと踏み込んでほしかった。

私の就活問題解決の問いの立て方は「ムダ活(ムダな就活・ムダな採活)を防ぎながら、未知との出会いに、どのように学生を巻き込んでいくか」である。

A)大学生が多すぎる
B)能力・嗜好(力がない、大企業しか志望しない)
C)ムダ活(学歴・男女差別情報の未公表、自己PR・志望動機のつくり方など就活のための就活)

の3点が就活問題の主論点だと考えており、私は

1)学生に「未知=異質」(社会人、他大生、仕事、企業、業界)との出会いを生みだす
2)それによってB)の嗜好について変化をもたらし(「知らない仕事・会社・業界は志望できない」)
3)B)の能力向上にも寄与する企画に学生を巻き込んでいく

ことを「大学」と組んでおこなって(いこうとして)いる。

私自身が講師になるわけでもなく、学内合同企業説明会の業務代行をするわけでもなく、学内での「複数企業パネルディスカッション」を、大学と組んで実施しているのは「ムダ活を防ぎながら、未知との出会いに学生を巻き込んでいく」手段として有効だと考えているからだ。今は「大学」という括りで動いているが、秋以降は「他大生という未知」との出会い企画もつくろうと模索している。

その私の問題意識からすると、今回の宣言と取り組み内容からは「ムダ活を防ぎながら、未知との出会いに、どのように学生を巻き込んでいくのか」が見えないのだ。

どれだけ賢い人たちが、どれほど積み重ねてきたデータであっても、簡易テストで「はい、あなたにはこの仕事・企業が合っています」と言われた会社を応募する学生が、就活を通じて成長するイメージが湧かない。今まで知らなかった仕事、企業、業界に「巻き込まれながら」興味をもち、成長していくイメージが湧かない。

最大級の求人があるからこその、掲載基準、たとえばここ3年間の毎年の採用実績学校名と人数、その男女別、の公表が必須、などの基準や、大学との具体的なタイアップ企画、たとえば複数社乗り入れインターンシップ企画を企業無料・大学有料モデルで提供する代わりに企業には必須で実施してもらうコンテンツ(学生成長に寄与するもの)を用意する、とか、そういう、今までとはちがう具体策が見えてこない。

そこが残念ではあったが、まずは自分が大事だと思っている就活・採活支援に、ひとつずつ取り組んでいこう。民間企業であるリクナビが批判されるべきは、宣言が守られなかった場合だけである。

最後に、私が面識あるリクナビ関係者、リクルートおよびリクルートグループの人材支援会社の社長や事業企画担当者の方々は、とても人間くさくて、驕っておらず、ステキな人たちばかりであることを書き添えておく。

2010年9月18日土曜日

新卒一括採用はどのようにして生まれ、定着したか

「『義務』あるいは権利。この二つのことばも、明治国家が翻訳してくれた言語遺産です」(『「明治」という国家〔上〕』司馬遼太郎著・NHKブックス)

現在の日本の新卒一括採用の礎が築かれたのは、明治時代である。「武士という、貧しくても誇り高く、形而上的に物を考え、よろこんで死ぬわけではないにしても、いつでも必要とあらば死ぬということを人生の大前提にして代々その精神を世襲してきたひとびとと、町人的合理主義をもつひとびと」(同上)がいた江戸日本で「圧倒的な商品経済(貨幣経済)の沸騰」(同上)が起きたまま明治へと時代が変わりゆくなかで、後者(町人的合理主義をもつひとびと)が熾烈な人材獲得競争への対策として、そして「義務と権利」の社会風潮の後押しのなかで編み出されていったのが、合理的な、新卒一括採用である。

「明治時代における、日本の労働者の労働移動は、世界の雇用史上最高の水準にあったと言っても過言ではなかった」(『日本雇用史』坂本藤良著・中央経済社)
日本は「新卒入社した会社に、多くの人が一生(終身)雇用される特殊な国」と言われることがあるが(少なくとも私はそう思っていた)、そんなことはない。若年離職率が、高卒・中卒よりも低い大卒でみても、30歳までに50%が転職を経験する(リクルートエージェント転職5万名調査<2007年>資料より)。金融危機後はその率は落ち込んでいるだろうが、ポイントは「条件が高いところへ労働者が移動する(転職する)習慣は、明治時代には既にあり、世界トップクラスだったと思われる」ということである。参考までに、職工の勤続状況を見てみると、大正期(私の手元資料の最古)では、男性の3年以下の離職率は57.9%である(HRmics AUG.-NOV.2009資料より)。

職工労働市場では、雇っても辞められる繰り返しと、そのための熾烈な人材獲得競争が明治時代には始まっていた。その対策として発明されたのが「(まだ仕事ができない)未熟練工を雇い、企業内学校で育て、一人前にする」仕組みである。八幡製鉄所(1910年/明治43年)幼年職工要請所設立、日立製作所(1910年/明治43年)徒弟要請所設立、などである。ゼロから体系立てて教えるから技能は当然身につき、感謝の念の裏返しとして忠誠心も得られる。この仕組みの成立とともに職工労働市場も供給が安定、「世界トップクラスの労働移動」「熾烈な人材獲得競争」は終息していく。

一方、商家の雇用制度はどのように変遷したか。結論を先に書くと、「かたちを変えて、子飼制と内部昇進制を柱とする日本型雇用制度となった」(「農民の時間から会社の時間へ:日本における労働と生活の歴史的変容」斎藤修著・一橋大学機関リポジトリ HERMES-IR)。

丁稚奉公から番頭へと出世する商家の雇用制度。そもそも奉公人とは「江戸時代、一定の年限を定めて、住み込みで商家の家業に従事(年季奉公)した者の総称」(kotobank.jp)であり「丁稚(でっち)は無給で、使い走りをしつつ、読み書き、算盤などを習得する。元服後、手代(てだい)に昇格、有給となる。番頭は管理職で、暖簾分けして独立する機会を持った」(同上)。重要なのは、この制度が「激しい競争淘汰システム」であったことだ。
まず、試用期間。短期間の試用で仕事が覚えられない人間は「暇」を出されて不採用。この一次選抜の通過率が7割。7~8年後に、初の「登り(実家に戻る休日)」がくるが、これが今でいう昇進試験。昇進を果たせなかった人間は(今と違って現職にいることはできず)「永遠の休日」となり、店に戻れない。昇進すると、中座というポジション。さらに7~8年後に二度目の「登り」がきて、これで上座・番頭クラス、三度めの「登り」で支配人、という流れだが、二度目の「登り」で上座・番頭クラスになれる確率は6~22%。さらに三度目の「登り」でも2~4割は脱落させられる(奉公人の昇進率については、前記・HRmicsより)。

この「大量採用・少数選抜」を「衣食住を提供しながら」「隷属的に」実行する雇用制度は、経営側(商家側)にも負担が大きかった。「経営者一家と社員は平等である」と宣言した三井銀行が1876年には通勤・給料制を始め、一般化していく。経営側の合理性、そして「義務と権利」の社会風潮が、通勤・給料制の一般化を推し進めた。

しかし、というべきか、当然の帰結なのか、通勤・給料制の移行は「厳選採用・精鋭育成」を生みだすことになる。丁稚奉公式の「大量採用・少数選抜」では無能社員(奉公人)は「暇」を出せば済んだが、こちらはそうもいかない。さらに、近代化の流れの中で、「実践型人材」よりも「(経営に関する)知識型人材」の必要が出てくる。そこで企業が目をつけたのが、官公庁に勤めるのが当然だった「旧制大学卒業者(明治後期で年間700名)」である。言わば、スーパーエリートたる「大卒」の人材獲得競争が「中途市場」で始まる。この先は職工と近く、「中途がダメなら新卒を」の発想で、1895年に三菱財閥筆頭会社である日本郵船、三井、1907年には住友が、大学卒業者の新卒定期採用を始めることになる。

こうして明治末期には、財閥各社を中心に大卒の定期採用が普及したが、現代に近い「多くの大卒者が毎年、各企業に一斉就職する」ようになったのは、第一次世界大戦(1914~1918年)後の大正中期であった。要因は2つある。ひとつは、企業側の人材ニーズの拡大。戦争成金の出現と海外展開の実行がその背景である。もうひとつは、大学令の発布により、専門学校の大学格上げ、商学系大学・学部の新設ラッシュである。大学生が急増した。1905年の准大学(官・私立専門学校)の卒業生は2900人、10年後の1915年は6400人である。同じ時期、大学卒(帝大卒)も700人から1600人に増えている。つまり、1915年時の、現在の大卒にあたる卒業生は、合わせて8000人だった。スーパーエリートたちである。

・・・・・・

95年の歳月を経た。
年間大卒者数は60万人になった。
この間、当時は「育てる、と言っても(経営に関する)知識は自分たちよりも上」であることが価値であったスーパーエリートたる大卒者は「知識も含めて育てる、教える」存在になった。「未熟練な若年労働力である大卒者を、知識も含めて育て、ロイヤリティを高め、社内適応人材にする」。それは、職工の企業内学校に近いものである。

企業内育成に主眼がおかれた職工による若年者採用。
エリートの早期確保に主眼がおかれた大卒者一括採用。
高度経済成長から低成長への突入、働き方の多様化、若年労働力人口の減少と、大学生の急増。数々の環境変化が起きているなかで、「企業内育成」「エリートの早期確保」の両輪が、さみだれ式に融合され、効果が測れないまま、明日も大学生の新卒一括採用はおこなわれる。

2010年9月8日水曜日

大学生の就職難とは何か

就職難であるらしい。

「不況で採用数が減った」「だから就職できない学生が増えた」「特殊な日本の新卒採用一括主義は、未就職者の正社員への道を閉ざすもので、派遣やフリーター急増の大きな要因となる悪しき習慣だ」という意見もある。専門外の人たちもメディアやブログやTwitterで発言している。良いことだと思う。
アイディアが転がっていることもあるし、刺激を受けるし、多くの人が就職問題に興味をもつことは、大きな仕掛けができる可能性を秘めているからだ。一方で、私は企業や大学や学生と関わりながら、就職・採用・キャリアに関する課題解決をおこない、お金を頂いている。「らしい」の話を鵜呑みにするわけにはいかない。というわけで、今起きていることを整理してみる。

※話が拡散するので「日本人大学生の就職」に絞る。データもかなり四捨五入。


1.人口減、大学生増加

少子化である。

19歳~22歳の基礎人口は、89年は750万人、09年は500万人。250万人も減っている(その間、93年がピークで、その後はずっと減)。
それにも関わらず、少子化に逆行するように、大学数と大学生が増え続けている。大学進学率でみると、89年で25%、09年は50%。

750万人×25%=190万人、500万人×50%=250万人。

そう、人口がぐっと減っているのに、大学生は増加している。
ちなみに09年度の大学数は、国立86校、公立69校、私立589校の計744大学もある。
(データ「人口統計」「学校基本調査」)

2.いつも30万人程度は中堅中小企業に就職

ここ20年間の企業の正社員採用数はどのように変化しているか。

まず、上場企業・大手企業の「新規学卒者採用予定数」でみると、20年間で採用予定数が少なかった年は、90年の3万人、01年の4万人。90年代は、3~7万人をいったりきたりしているが、00年代に入ると、04年から09年まで毎年その数を増やし続け、09年には10万人という大台に乗っている。但し、実際には内定取り消しをはじめ、予定数ほど採用しなかった企業が多数だったと思われるため、実数としては08年の9万人がもっとも多い数だろう((『日経リサーチ』調べ。各業界別に上場企業・大手企業から主要企業を日経が独自にピックアップして回答依頼したもの。上述の通りデータは「予定数」)。

就職総数は、不況と言われる直近の10年が33万人、好況の08年が39万人。上場企業・大手企業は好況不況どちらでもせいぜい3~9万人程度の受け入れ枠であるから、大体30万人くらいは好況不況問わず、いつも中堅中小企業に就職していることになる。

3.問題は、大手企業しか受けない中堅校以下の学生たち

就職支援の現場にいる人たちならば実感していると思うが、学生の「大企業志向」は本当に根強い。
約10年間、就職情報会社に勤めて学生と話す機会ももちろんあったが「大企業以外は企業にあらず」くらいに思っている学生もいた。そう思うのは勝手なのだが、中堅校以下の学生が大手だけを目指したら、決まるものも決まらない。企業規模と、入社者の大学偏差値の相関データを見たことも調べたこともないので(存在するのだろうか)ここから先は実感ベースで話を進めるが、実際に就職・採用支援現場で仕事をしていると、大企業ほど入社者の上位校比率は高い、ということを強く感じる(まず間違いないだろう)。初めから「(関東で言うと)東大・一橋・早稲田・慶応しか採用対象ではありません」という企業はごく稀にしかないが(稀にある)、「結果的に上位校」となっている大手企業が一般的だ。

もちろん、中堅校以下の学生を採用することだってある。しかし、その枠はとても限られている。そのことを知ってか知らずか、置かれている環境を理解できないのか「大手企業じゃないとイヤ」という中堅校以下の学生が多い。

1人の学生に対する求人が何件あるかを示す新卒求人倍率、3.63。…これは直近の「1,000人未満の企業」の数字である(リクルートワークス研究所、厚生労働省職業安定局)。ということを勘案すると、中堅中小企業の求人はあるのに目を向けない、特に中堅校以下の急増した学生たち、この学生たちが「10万人」という前代未聞の未就職者数のボリュームゾーンではないだろうか。

(「上位校だって就職難だ」と言われそうだが、そもそも上位校でも就職力がない〔企業には魅力的に映らない、または就職したいという気力が低い〕学生は昔から一定層いただろうし、メディアとしてはネタ的にそのほうが取り上げやすい。実際に大企業の採用数も〔繰り返しになるが全体としてはさほど影響がないにせよ〕減っているのだから『上位校は大企業にいきやすい度』」の話)

4.まとめ:就職難問題の構造

大学生が増え続けている。
企業の新卒正社員採用数は変わっていない。
中堅中小企業の求人倍率は3以上あるのに、学生は目を向けない。当然、多数があぶれる。
大手企業は上位校採用率が高い(だろう)=中堅校以下は採用確率が低い(だろう)。
だから、大手企業ばかり志望して就職先が決まらない中堅校以下の学生がこの問題のキーマンである。
彼らが「10万人」という前代未聞の未就職者数を生みだした。

5.解決策の方向性

ここまで書いて改めて思うのだが、結局、学生が企業と仕事を選びすぎていると思うのだ。

根底にあるのは、小さいころから育まれてきた「買い物意識」だと思う。「私が就職したら、会社は私に何をくれますか?」という問いを自然と立ててしまう。“消費者”としての自然発想だ。その発想で考えれば、せっかく20年も生きてきて「大企業に見劣りするものしかくれない(“消費者”だから給与とか福利厚生とか休日とか)中堅中小企業」は「割に合わない」と思うのだろう。そのことについてはまた別の機会に考えてみたい。

それで。

問いの立て方次第だが「大卒の未就職者数が増えていること」を「就職難」とし、「課題」とするならば、解決の方向性は3つ。

1)中堅中小企業への大卒入社者を増やす(大手企業の採用数は増やせない。増やせても全体解決に対する影響度は低い。むしろ外国人採用の増加によって日本人採用枠は減る)
2)大学生を減らす
3)大学生を企業が採用したい人材に育てる

この具体策を考えているのだが、まだしっくりこないので、ここまで。

2010年8月19日木曜日

キャリアは他人のためのもの(内田樹氏『街場のメディア論』を読んで)

内田樹氏の『街場のメディア論』(光文社新書)第一講「キャリアは他人のためのもの」を拝読。 → http://amzn.to/92PS9f 

ぜひ、学生全員に読んでもらいたい。ぜひ、就職支援や採用支援、キャリア教育に携わる方々、一人でも多くの方に読んでいただきたい。

私自身、就職・採用という領域で約10年間、仕事をしてきて、「そうそう、そういうことを伝えたいんです!」という内容だった。(2,3年前から内田先生のファンなので、無条件に受け入れてしまっているかもしれないけれど)

一部、抜粋。

「みなさんの中にもともと備わっている適性とか潜在能力があって、それにジャストフィットする職業を探す、という順番ではないんです。そうではなくて、まず仕事をする。仕事をしているうちに、自分の中にどんな適性や潜在能力があったのかが、だんだんわかってくる。そういうことの順序なんです」(P18)
「与えられた条件のもとで最高のパフォーマンスを発揮するように、自分自身の潜在能力を選択的に開花させること。それがキャリア教育のめざす目標だと僕は考えています」(P21)
「開花する才能は自分で選ぶものではありません。(略)人間が大きく変化して、その才能を発揮するのは、いつだって「他者の懇請」によってなのです」(P24-P25)
「「天職」というのは就職情報産業の作る適性検査で見つけるものではありません。他者に呼ばれることなんです。(略)自分が果たすべき仕事を見出すというのは本質的に受動的な経験なんです」(P30-P31)

・・・・・・

私が就職した会社(この6月末まで勤めていた就職情報会社)は、入社当時5名。創業社長と経理の方、そして新卒入社の先輩(つまり2年目社員)が3名という所帯だった。社長以外、みーんな「がむしゃらにやる」以外は何もできなかった。「人気の同業他社にいってる奴らが優秀?じゃあ、そいつらの2倍働くしかないね!ははは!」というノリだった。

入社して数年は、終電(たまに徹夜)の日々だったが、22時くらいになると、仕事終了の目処がたったメンバーが「なんか手伝うことある?」と他のメンバーに声をかけるのが普通の風土だった。

創業社長からは本当に多くのことを教わったが、一番は「仕事は世のため人のため」という哲学だった。

今ではベストセラー作家兼人気講師の方からは「伊藤ちゃんね、仕事は一生懸命、目の前のことをやるだけだよ。そうすると、いつか道が拓けるから」とよく言われていた。「仕事なんて、なんだっていい、と実は思ってるんだよ」とも。ご自身の挫折経験を元にした「言霊」だったので、スッと胸に入ってきた。頭ではなくて。

・・・・・・

入社当時(正確には内定者時代から)就職イベントの担当者になり、いつしか、就職イベントでパネルディスカッションの司会(ファシリテーター)をするようになった。後輩が入り、チームリーダーになった。社員が20名を超えたころ「事業企画責任者」という名刺をもつようになり、大学とのタイアップ企画も、ひとつずつ、つくっていくことができた。

何ひとつ「自分が向いているから」やった仕事ではない。「できそうだから」やった仕事もない。
仕事を発注してくれたお客様、セミナーに足を運んできてくれた学生、企画を通してくれた大学の担当者さん、そして歯を食いしばりながらも明るく頑張る社内メンバー。そんな一人ひとりの「期待」…というよりも「恩返ししたい」という思いで、目の前の仕事に取り組んだ。

30歳の節目。きっかけがあり、初めて、自分の人生の今後を真剣に考えた。
「できること」が増えていた。「できること」が「やりたいこと」になっていた。そしてそれをコアに、いま、勝負するのが「すべきこと」でもあると思った。

ファシリテーターとして起業。

そういう選択だった。

・・・・・・

「夢」がある人はそれに向かって突き進めばいい。
「夢」がない人は、無理につくらなくたっていい。
仕事をして、ひとつずつ目の前のことに一生懸命に取り組んでいると、いつか「志」が生まれるから。
「志」は、「自分って何者だろう?」「自分の天職って何だろう?」「どういう人生が自分にとって幸せだろう?」という立脚点からは生まれない。「他者」のために必死になるうちに、芽生えてくるものだと思う。そして「他者」のために何かに取り組み、感謝されること以上に、人間が幸福感を味わえるものはないのではないか。

だから私は、一人でも多くの学生が「夢」や「理想のキャリアプラン」をもつことよりも、一人でも多くの学生が「この選択が合っているか分からないけれど、とりあえず就職」して、「一生懸命、目の前のことに取り組んでいるうちに『志』をもつ社会」のほうが、どれほど笑顔と思いやりに満ちた社会になるだろう、と妄想する。

ファシリテーターとして、学生と仕事、学生と社会人の距離を近づけることが、その実現への道筋だと思いながら、今日も働いている。

2010年8月5日木曜日

低学年向けキャリアセミナー

某私立大学さんから、低学年(1・2年生)向けのキャリアセミナー(計
6回)の提案機会をいただく。初めての「低学年向けセミナー企画」のため、
考えているのが楽しかった。

以下、提案書の抜粋。

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●狙い
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学生が「意思決定を積極的に積み重ねることで、充実した“自分づくり”
の学生生活を送っていこう!」と思うこと

⇒企業が求めている人材とは、特殊な体験をしてきた学生ではなく、意思
 決定=自分で考え、行動することができる学生。つまり「就職(活動)」
 (ばかり)に意識を向けて学生生活を過ごしてもらうことが重要なのでは
 なく、考え、行動し、喜んだり、傷ついたりしながら、それでも立ち上が
 る、豊かで逞しい人間へと成長するきっかけづくりこそが、キャリア支援、
 就職支援という側面においても肝要である、と考えます。

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●狙いを実現するために必要なこと
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・進路≒生き方の選択肢は多数あること、の提示
⇒進路ごとにゲストを招き、インタビュー形式でゲスト本人の生き方を見せ
 ていく“公開取材”のイメージ。ゲストは各回2名とし、2名の考え方や
 生き方を対比しながら進めることで、一層の理解をはかる。

・就職ばかりに目を向けて学生生活を送らなくてもいいんだ、という安心
 感の提供

・行動すること、体験すること、の重要性実感

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●ファシリテーターのスタンス
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・卒業は、新たなスタートラインに立つこと

⇒社会人になるということは、あくまで新たな生活のスタートラインに立つ
 ことに過ぎません。したがって、社会人になってからも、学び、挑戦し、
 失敗し、泣き、歯を食いしばり、そうして自分で幸せを掴んでいく、と
 いうのは当然のことです。その「苦悩や挫折も含めた、道が拓けるまでの
 プロセス」を引き出しながら、ゲストの「行動」「考え方」「価値観」を
 噛み砕いていきます。
 「社会人になってからも苦しいことはある。そのときに拠って立つ、価値
 観、仲間、能力をこれからの学生生活でつくっていこう」というメッセー
 ジが発せられる展開にします。

・ゲストと学生の繋ぎ手として

⇒社会の第一線で活躍しているゲストと、学生の間には、経験・世代・言葉
 さまざまな「壁」が存在します。ゲストが発したメッセージを学生が誤っ
 て理解してしまうこともよくあることです。
 ファシリテーターは、学生側の視点に立って「学生が本当に知りたいこと」
 を質問として投げかけながら、勘違い理解をしてしまいかねない言い回しや
 社会人にのみ通じる共通言語などを、噛み砕きながら進行します。

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●テーマ
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1.起業家・事業家が語る「挑戦と生き様」
2.キャリア支援のプロが語る「学生生活愉快化計画」
3.研究者が語る「学問の独立、追求」
4.“家業・士業”が語る「手に職をもつということ」
5.人事部長が語る「優秀人材の生まれ方」
6.NPO理事が語る「価値と貨幣の非対称性」

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ゲストをリストアップしながら、想像だけでワクワクしてきた
(自分が話を聞きたい人を中心にしたから当たり前ですが)。

結論はお盆明け。
楽しみに結論を待つことにします。

2010年7月23日金曜日

学びと、就職と、働くことへの動機づけ

WiMAXの入り具合が良いために『銀座ルノアール』ファンになりました。

●初めてのRT(リツイート)

Twitter で、見ず知らずの方が初めてRT(リツイート)してくれた。なんだか嬉しい。
RT してくれた内容は

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恋愛充実男子は、就職に困らないという仮説。「努力は報われないことがある」という経験と「だからといって諦めても何も始まらない」ことを知っているからか。「自分の未来は、自分の手の中にはない」。
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●学びへの動機づけと、就職への動機づけと、働くことへの動機づけ

大学の学生支援課(キャリアセンター)主催で「OBOGを招いて、勉強が就職後にどのように役立つのかを話してもらう」という企画がある。

推測するに、狙いは「自分が今していることと、社会とのつながりを知る」ことだと思うのだが、これって、学びへの動機づけを損なうことにはならないだろうか。

だって、学問と、ビジネスで求められる知識やスキルは、そんなに関係がないだろうから。

学問の、就職後における価値は、学問そのものではなく、学ぶことの意味と、学ぶ姿勢を知る、という点だと思う。その学びの価値が分からないから学ぶのであって「それをやると自分にどんな利点があるのですか?」という問いを立てた途端、人は学びをやめ、成長も止まる。その図式は、社会人になってからも基本的には同じだ。

学びへの動機づけを損ない、就職そのものへの動機づけは高め、働くことへの動機づけはないままに就職していく(入社してから「何で頑張って働かなくちゃいけないんだ」と悩む)、という結果を生むキャリア教育や就職支援は反対である。

そうではなくて「働くことへの動機づけ」に主眼をおき、そのことで、日常への学問・勉強への動機づけにもつながる(相乗効果を生み出す)施策が、大学主導のキャリア教育には必要だと思うのだが、成功事例はあるのだろうか。


●今週の響きフレーズ

「精神的な失業者」


皆さん、良い週末を。