2010年11月30日火曜日

科学的管理手法への逆戻り

11/29、月曜日。

午後、明治大学・駿河台キャンパスを訪問。少し早めに着いたので、ロビーで時間を潰していたら、守衛さんに大きな声で挨拶していった人がいた。うん、そうだ。学生にどうこう言う前に、自分がそういう「相手も自分も気持ちいいこと」をきちんとやろう。

数日前から読んでいる『戦略人事論』を読み進める。

戦後、日本が採用した人材マネジメントは、ハイコミットメント・モデル(人間重視=ソフトバージョンの戦略人事)。「社員のモチベーションとコミットメントを高めることで、組織パフォーマンスが向上する」という考え方。それを機能させるために必要なことは

1)組織と社員の良好な関係
2)外的満足
3)自由裁量

従って

A)高い雇用保証
B)社員同士の密コミュニケーション
C)高い教育投資
D)業績連動報酬(主に賞与)

が目的化する。日本はそうして、フォードに代表された科学的管理手法(職務の細分化と専門家、計画者と実行者の分離)に勝つ組織パフォーマンスを発揮し、80年代に「ジャパンアズNo1」と言われるまで上り詰めたのだ。

科学的管理手法は「社員はコスト」と位置付けた。
ハイコミットメント・モデルは「社員こそ競争力の源泉」と位置付けた。
この違いは決定的だったはずだ。

ふと、一部上場メーカーの人事担当者の言葉を思い出した。「入社してすぐに人事配属になって、最初に叩き込まれた考え方は『人事部のミッションは労務費の極小化』ということです」。

市場での激しい競争にさらされ、利益が出せず、雇用保障も規制でがんじがらめ。そんな日本は今、「社員はコスト」と位置付け、負けていった、過去の科学的管理手法に逆戻りしそうになっていないか。そんなことを不安に思った夜。

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