2011年1月13日木曜日

「やりたいこと」と「自分の軸」

1/12、水曜日。

某社の社長と顔合せ。

説明会にファシリテーターとして参画し、社員インタビューを行う企業である。説明会には社長ももちろん登場するのだが、採用担当者さんが気を遣い、今日の場を設けてくださった。

短い時間だっだけど、貴重な時間だったな。
一代で40年近くかけて、数百名の会社にまで成長させた創業社長らしい自由な感じ?偉そうに振る舞うわけでもなくフラットなんだけど、雰囲気や顔から、圧倒的な経験値の差(修羅場の数?)が感じられて。会話で笑いを取れて良かった。いや、別に笑わせに行っているわけではないんだけど。

午後は大学向けの提案書づくり。
業種でも企業でもなく「仕事」を知るためのセミナー(学年不問)を今年は複数の学校で実施するのだ。我ながら「うん、いい感じ」と思える内容に仕上がった。学生メリットと、大学メリットと、企業メリットと、私の思い(やりたいこと)が重なっている、もっとも展開したい企画。

『就活エリートの迷走』(豊田義博氏・ちくま新書)を夢中になって読む。赤線引きまくり。

大学生の就職活動に携わって9年になる。
常々もやもやしていた「やりたいこと」「自分の軸」に関して、なるほど、と思う視点だらけなのだ。

思い起こせば(本書でも指摘されている通り)「やりたいこと」を企業が一斉に聞くようになったのは、2004年頃からだと思う。キャリアビジョン、とかね。

で、私自身は(就活という文脈のなかで使われる)「やりたいこと」なんて学生の頃になかったし、自分の軸なるものもよく分からなかった。仕事をしてから「やりたいこと」「自分の軸」がおぼろげに見えてきた。

時代が違う(私は02年就職)のは分かる。でも、人間、「やりたいこと」「自分の軸」なんてそんなに短期間で、しかも働いたことがない段階で、分かるものなのだろうか。と思っていた。けれど、学生と話したり飲んだりしていると、確かに「やりたいこと」「自分の軸」を“堂々と”話している学生のほうが、志望企業(主に大手や人気企業)に入っていくな、という実感もあった。だから「自分の軸をしっかりもちましょう」とアドバイスする就職支援者側や、採用担当者のメッセージに実は違和感をもちつつも、「短期間でやりたいことや自分の軸なるものを見つける(あるいは、見つけたように自分自身をも納得させる)」ことの負の面を何か言えるわけではなかった。

「やりたいこと」「自分の軸」を見つけ、「就活」という固定化された“ゲーム”をわりと余裕で乗り切り、志望する企業へと入社していった「就活エリート」のその後と、「就活」が彼ら彼女らに及ぼした根深い問題、構造についての問題提起と、就活改革への提言の書である。

「やりたいことやキャリアを考えるのは良い。でも『ある程度考える』で十分じゃない?だって、99% 人生も仕事もそんな風には回っていかないから。就職して『あの頃の未来に僕は立っているか』って自問し、どうしようもない不安に襲われた時、その時に支えとなる、友人や恋人、先生、学問、モノの考え方や世界の見方、心の強さとしなやかさ、そういうものを学生時代に身につけた方がいいよ」

そんなことを学生には伝えたい。

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